【大紀元日本9月22日】15日のジュネーブでの交渉で、多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が10月より次官レベルで再開されることが決まった。オバマ政権の中国製タイヤに対する緊急セーフガード発動など、自由貿易が脅かされる世界経済で、ドーハ・ラウンドはどのような方向に進むのだろうか。17日付英紙「タイムズ」では、中印関係の泥沼のなか、インドはドーハ・ラウンドの貿易自由化交渉をうまく利用するのではないかと示唆している。
ドーハ・ラウンドは、もともと貿易を通じて途上国の経済開発をめざすことを主旨として、貿易障壁を取り除き、農業分野の補助金を撤廃することを柱として発足した。しかし、ここ数年、交渉は難航し、昨年7月には、発展途上国に認められる緊急セーフガード措置の発動条件をめぐり米印が対立し、決裂に終わった。
ドーハでは、これまでの「発展途上国」対「先進国」という図式はすでに成り立たない。新興産業国同士の中国とインドが犬猿の仲にあるからだ。インドは昨年7月から12月にかけて、42件の反ダンピング調査に踏み切っており、そのうち17件は中国製品だった。景気後退が深まる中、インドは中国製品の締め出しを次々に展開した。まず、中国産のプラスチックのおもちゃを、鉛含有の塗料など安全性に欠けることを理由に、6ヶ月間輸入を禁止した。6月には中国からのアルミ輸入に対して30%の関税をセーフガードとして発動。ビタミンCには5年の関税、乳製品については輸入禁止措置を延長している。これに対して中国側は、インドが「目に見えない貿易障壁」を立てていると猛反発している。
こんな中、EUそしてドーハを強く支持する農産国ブラジルが、オバマ政権をドーハ・ラウンドに取り込もうと動いている。しかし、米国民にとって得るもののない協定に、オバマ大統領が合意する理由は見当たらない。しかし、サービス貿易の自由化交渉と地理的表示製品(ワインやチーズなど)の保護という、ドーハの本流でない取り決めは、米国にとって十分魅力がある。ブラジルはこのような脇道にそれた取り決めには真っ向から反対しているが、EUは、米国がサービスと投資の面ではドーハの取り決めを受け入れるのではないかと期待している。
この動きは、インドにとって願ったり叶ったりだ。バンガロールでのソフトウェアのサービスが大当たりして、インドは貧困国から経済国へと脱皮している。サービス業での国境を越えた自由化は、インドにとって有益であることはまちがいない。
戦後の保護政策はインドに繁栄をもたらさなかった。ガードを下げて多少の痛みに耐えれば、もっと大きな魚がつれるかもしれない。「中国製」に圧倒されているインドだが、ドーハ・ラウンドのサービス貿易自由化交渉をうまく利用することで、中国よりも優位な立場につく可能性は十分ある。
(編集・鶴田)
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