印刷版   

ドイツ・フランクフルト国際書展の大紀元時報の出店ブースを訪れた、09年ノーベル文学賞受賞者ヘルタ・ミュラー氏(左端)(撮影・ジェイソン/大紀元)

09年ノーベル文学賞受賞者、フランクフルト書展で大紀元にエール
中国の独立派作家を支持 共産党専制を批判

 【大紀元日本10月20日】09年ノーベル文学賞受賞者のヘルタ・ミュラー氏が15日午後、ドイツのフランクフルトで開催中の国際書展に出店していた本紙のブースを訪ね、共産党専制下の中国の真相を伝える大紀元時報の努力にエールを送った。「近い将来、中国の内部あるいは外部から、中国の人権問題の現状を変えることのできる強い力が現れることを願っている」と話し、編集部スタッフ及びブースに集まった中国系亡命作家らへ激励の言葉を贈った。

 今年のノーベル文学賞を受賞したばかりのルーマニア系ドイツ人ヘルタ・ミュラー氏(Herta Mueller)が15日午後4時、大紀元時報のブースに現れた。いち早くミュラー氏を見たい人々がブースに殺到し、出店ブースは人や報道関係者であふれていた。

 ドイツ国内の報道では、ミュラー氏は文学を通じて読者とコミュニケーションをとることが好きで、公の場に出るのはあまり好まないという。この日大紀元時報の出店ブースを訪ね人々の前に現れたミュラー氏は、少し恥ずかしそうな様子だった。

 ブースにいる大紀元時報のスタッフに対して、「あなたたちがどのような代価を払っているのか、どのような危険を冒しているのかは、よく想像できる。あなたたちが行っっていることに良い報いが来るよう心から願っている。近い将来、中国の内部あるいは外部から、中国の人権問題の現状を変えることのできる強い力が現れることを願っている」と激励の言葉を贈った。

 出店ブースに集まった中国の反体制作家たちに対して、「皆さんに何らかの形を通じて支援できることを望んでいます。もし私の受賞が皆さんにとって、守る作用を果たせるならうれしく思います」と述べた。

「歴史を忘れることを拒否する女性作家」

 ルーマニアで生まれたミュラー氏は、共産党政権の下で約30年間を過ごしてきた。彼女の作品のテーマはほとんど共産党政権の下で暮らした生活の追憶やその災難とも言える歴史への再思考だ。

 ミュラー氏は、共産党政権国家はひとつの巨大な刑務所の
大紀元時報のスタッフ及び中国系の独立派作家や学者と記念撮影するヘルタ・ミュラー氏(中央)(写真・ジェイソン/大紀元)
ようだと話した。「私は一つの専制政権より長生きすることができて、とても幸運だ。しかし、この世を去った友人にとって、チャウシェスク政権の崩壊は無意味になっている。彼あるいは彼女の命はその専制政権に奪われたのだ。残念ながら、今の中国、キューバ、イラン、そして北朝鮮では、このようなことがまだ起きている。(それらの専制政権は)人間らしさの範疇に入っていない。あそこは巨大な刑務所なのだ」と話した。

 また、中国共産党政権は言論の自由をコントロールすることによって、民族の追憶を撲殺しようとしているとの考えを示した。

 「中国経済とその他の領域の発展は確かに目覚ましいが、依然として人権を無視している。当局は人々の文化大革命についての発言を禁じているだけでなく、「6・4」天安門事件で学生たちが虐殺されたことに関する言論さえ禁止している。彼らはそのイデオロギーが完全に正常な人の状態から背いているのを理解していないようだ。一つの民族を握りしめている」と述べた。

 本紙ドイツ支社の周編集長は、「ミュラー女史の作品の文体は簡潔にもかかわらず、非常に優雅で美しい。彼女は多くの人々が忘れかけている共産党専制の被害者たちを、悲しみがあり笑いもある生き生きとした人物に蘇らせた。私たちは彼らの言葉で言い表せない苦しみと生きることへの切望を感じることができた」と話した。ミュラー氏を「忘れることを拒否する女性作家だ」と称賛し、「彼女の受賞は、中国共産党政権の圧力を感じながら、依然として執筆活動を続け、中国特有の集団記憶喪失現象を勇敢に破っているすべての作家やジャーナリストへの激励だ」という。

 アメリカ在住の亡命詩人・貝岭氏は、「ミュラー女史が今年のノーベル文学賞を受賞したことは、亡命しているすべての作家たちにとって共通の名誉だ」と述べた。

専制政権下の勇気と責任

 ルーマニア生まれで、チャウシェスク専制政権を経験したミュラー氏は、1979年にルーマニア秘密警察から情報提供を強要された時、それを拒否したため、仕事を失
高智晟弁護士の救出呼び掛けに署名するミュラー氏(大紀元)
った。

 当時のこの出来事について、ミュラー氏は「悪いことをしたとき、それに対して責任を負えないという恐怖から、拒否した」と話し、「勇気は恐怖のもう一つの顔だ。専制政権の下で、私たちは勇気と責任感を持たなければならない。もちろん、皆が怖くなるのは当然なことだが、私たちは常に、私たちの行ったことに責任を負えるかどうかを自問しなければならない。言いたくないことがあれば、言わなければいい。あるイデオロギーに強要されても、自分が言いたくないことは絶対に言わない」と語った。

 本紙ドイツ支社の周編集長は、ミュラー氏に、本紙の社説『共産党についての九つの論評』と中国の著名人権弁護士・高智晟氏の『神とともに戦う』のドイツ語版を贈った。ミュラー氏はその場で、高智晟弁護士の救出を呼びかける署名書に署名した。

 米国在住の詩人・貝岭氏、ドイツ在住の全体主義研究者・仲維光氏、哲学者・還学文氏、著名作家・茉莉氏、傅正明氏、廖天琪氏、徐沛氏などの独立派作家がミュラー氏との談話に参加した。

(記者・周暁輝=ドイツ・フランクフルト、翻訳・張哲)


 (09/10/20 07:27)  





■関連文章
  • 2006年ノーベル文学賞、トルコのオルハン・パムク氏が受賞(06/10/13)