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『財経』誌の胡舒立編集長(左)と今回辞職した呉伝暉社長

「奇跡の崩壊」:中国の有力経済誌、社長ら70人辞職 報道規制への抗議か

 【大紀元日本10月22日】政府批判や幹部の腐敗に関する独自のスクープ報道によって、厳しい報道規制の中国で「奇跡を創った」と評価されている中国の有力経済誌「財経」は、社長呉伝暉氏を含む経営部約70人の社員が、9月末に大量辞職したことがわかった。さらに、同誌の中心的な存在である胡舒立編集長も近く離職し、それに伴い、編集部の7割が同時に辞職するという。当局の報道規制や株主の編集への介入などへの抗議だとみられ、業界内著名人らが、「財経」の変動を「奇跡の崩壊」と嘆いている。 

 同誌は1998年に創刊、11年間で中国国内屈指の経済誌に成長した。従業員数は約300人。03年に政府当局が新型肺炎SARSの隠蔽を命じたことを暴露、06年江沢民派の陳良宇・元上海市書記が関与した年金基金の不正流用問題を最も早く報じるなど、これまで、幹部の汚職問題など重要な経済事件を報道してきた。そのほか、社会・政治問題に関する踏み込んだ評論も人気を集めている。そのため、中国国内で人気が急上昇し、最も利益を上げているメディアの一つである。創刊当初から編集長を務めてきた胡舒立氏は「財経」誌の母と称されるほどである 。

 中国の厳しい報道規制の中、独自の報道方針で業界に立脚した「財経」について、モーガンスタンリー前首席経済学者謝国忠氏はかつて、「奇跡である」と評価した。

 今回の人事変動について、同誌スタッフは、当局が今月1日の政権樹立60周年に向けて報道統制を強めるにつれて、9月末から辞職する社員が相次いだと語っている。胡編集長やそのパートナーらと、親会社の「聯弁集団(SEEC)」との間で、編集方針や経営など多方面において対立が生じたのが原因だと見られている。英紙フィナンシャル・タイムズは、今回の大規模辞職事件は、中国当局によるメディアへのコントロールがさらに強化されたことを意味すると報じた。

 同誌記者は、18日に発表した記事で、今回の集団辞任は、「聯弁集団」との編集方針を巡る戦いなどとしたほか、「もっと大きな原因は、メディア環境に対する圧力である」と記している。

 同記者によると、「聯弁集団」及びその上級機関の「全国商工聯合」からの取材と編集に対する規制と干渉が日々増加している。特に最近数カ月、新疆抗議事件、通鋼事件(吉林省最大国有企業「通鋼集団」の所有権売買をめぐって労働者たちが自発的に経営側に対抗、暴動が起こり社長の死に至った事件)、石首市群衆事件など大きな事件への調査報道は、発表禁止の指示を受けているという。

 一方、親会社の「聯弁集団(SEEC)」は、報道の焦点を経済に限定し、政治という敏感な領域を避けたいという保守的な報道方針を堅持しようとする。

 「完全なジャーナリズムを堅持する」と主張する胡舒立編集長は、「中国で最も危険な女性」と言われる。今月7日、胡編集長は中国国内のある週刊誌に「定められないビジョン」と題する感想文を寄せ、「ビジョンはとても遠く、楽観主義者の私も、常に調整しながらそれに近づくようにしなければいけない」と、複雑な心境を洩らしている。

 情報によると、近いうちに辞職する予定の胡舒立編集長とその部下は、新しい経済メディア創設に着手するという。

 「財経」誌は14日、公式サイトで「人事変動があったが、今後の経営には問題が無い」とした。

 完全なジャーナリスト精神でメディアの運営を実現させようとする胡舒立氏は、その迫力で次のところでも道を開いていくだろう。しかし、中国の政治体制下の厳しいメディア規制の中、胡編集長は自分のビジョンを実現させる環境に恵まれるのか。

 一方、内部情報によると、「財経」雑誌と匹敵するほどの経済紙「経済観察新聞」の前執行編集長仲偉志も10月1日の60周年日前に辞職した。同社の首席コメンテーター、「監察家」雑誌の編集長孟雷も仲氏と同時に辞任した。両氏が提携して新しいメディアを設立することになるという。

(報道・大紀元日本語編集チーム)


 (09/10/22 08:22)  





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