印刷版   

9月29日、東アフガニスタンで位置につくアメリカ兵(SIMON LIM/AFP/Getty Images)

米、アフガン増兵 ほくそえむ北京

 【大紀元日本10月15日】米大統領は先週、3月に発表されていた米軍2万1000人の増派に加え、さらにアフガニスタンに1万3000人を追加することを承認した。これで、合計3万4000人の増派となる。年内に6万8000人体制となる見通しにも変更がない、と12日付の米紙「ワシントン・ポスト」は伝えている。

 反戦運動者と外交評論家による批判、ならびに国内の不満が高まるにもかかわらず、増兵に踏み切った。米国の最終目的はアフガンを安定させ、イスラム教過激派勢力からの脅威を排除すること。しかしその目的を達成させたとしても、 多くの恩恵を得るのは米国ではない。米国新国際戦略センター(Centre for a New American Security)上級研究員ロバート・カプラン氏は、7日付けの米紙「ニューヨーク・タイムズ」に、中国の視点を考慮した現状分析を寄せている。

 カブール以南のロガー省に、中国の国営企業が35億ドルの投資でAynak銅鉱の開発を進めている。その埋蔵量は6・9億トンで、1・65%の高い品位。銅鉱石の価値は880億ドルとも言われている。米国がアフガニスタンの安定を守ろうとしている今、中国はアフガニスタンに埋蔵された銅、鉄、金、ウラニウムなどの貴金属に目をつけている。

 鉱物資源の発掘は、何万人ものアフガンに職を与え、税収入を生み出し、カブール政権の支えとなる。そして、アフガニスタンの安定は、インド洋などから天然資源を中国に安全に輸送するパイプライン構想を実現できる。

 つまり、米国が兵士からの血と国民からの財政を犠牲にして、アフガニスタンの過激派勢力を抑え、安定をはかることは、そのまま、中国の国益につながるというわけだ。ロシアも、イスラム圏の旧ソ連領南部の安定につながり、中国同様の恩恵を受ける。

 さて、仮に米国が撤退したら、どのようなシナリオになるか。カンダハール州その他の地区はタリバンの手に落ち、無法地帯となる。中国のパイプライン構想は不可能となる。米国の撤退は「米国にはもはや治安をはかる力はない。敵の意志の方が強かった」と宣言したことになり、アフガニスタンのイスラム教過激派は、ロシアに次いで超大国を破り、精神的な勝利を達成したと勢いづくことだろう。

 しかし、ここで最も不利な状態に陥るのは、中国とのライバル意識が高まるインドだ。タリバンがアフガニスタンを統治した場合、イスラム教過激派がパキスタン国境から中央アジアへと勢力を延ばすことは否めない。イスラム聖戦士がパキスタン=インド国境に力を注ぐ可能性は高い。インドは核兵器でも従来型の戦いでも、パキスタンに勝つ力量を備えている。このためには、経済成長から軍備整備へのエネルギー転換を余儀なくされる。中国には願ったり叶ったりのシナリオだ。

 つまり、米国が増兵しても、撤退しても、中国はその恩恵を受けて発展していく。しかし、増兵のほうが、中国にもロシアにも都合がいい。米国が最終的に当地の安定をはかり、目的を達したとしても、多くの恩恵を得るのは米国ではない。

 ジョー・ビデン副大統領が、米国はアルカイダの洞窟に焦点を絞るべきだと主張し、全体を鎮圧していこうとする方針に異議を唱える。しかし、この紛争で最も避けたいことは、現地のイスラム教の紛争に巻き込まれ泥沼化し、中国側の構想の現実化に手助けすることだ。国外紛争に介在する場合は、海軍・空軍を利用して遠方から関わることで、米国の世界的な立場は維持できるはず、とカプラン氏は結んでいる。

(編集・鶴田)


 (09/10/15 07:21)  





■関連文章
  • ドイツの6割企業、中国への投資を中止=独紙(09/10/06)
  • タリバン、中国製武器を使用(09/10/03)
  • 【フォトニュース】地震発生から2日後、救出される女子大生=スマトラ地震(09/10/03)
  • 体重8・7キロ、ジャイアント赤ちゃんを出産=インドネシア(09/09/27)
  • 規定違反の輸入中国玩具、コンテナー45個分を没収=インド(09/09/26)
  • ドーハはインドに有利に働く?(09/09/22)
  • バリ島沖でM6・4地震、負傷者7人=インドネシア(09/09/20)
  • 複雑化する規制と特恵 ドーハ・ラウンドを阻む自由貿易協定(09/09/17)
  • 国境線での中国側発砲報道、印政府が否定(09/09/17)
  • リオ・ティント社の炭鉱権益、インドへ譲渡か(09/09/17)
  • 中印国境タワン地区、緊張の焦点に(09/09/12)
  • インドAP州首相ヘリ事故死、ショック死する民衆(09/09/05)
  • アフガンでの対テロ戦争反対世論、過去最高 米CNN (09/09/04)
  • インドネシアM7・4大地震発生、死者46人以上(09/09/03)
  • 国境地区における中国の通信設備を制限=インド(09/08/29)