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2007年12月に3千万ドルの賄賂を受け取ったとされるモハマド・イブラヒム・アデル大臣(AFP /Getty Image)

アフガン:高額の収賄で、中国企業に鉱山開発権を付与か

 【大紀元日本11月24日】アフガニスタンの鉱工業相が、銅鉱山開発権を付与する代わりに、中国国有企業から約3千万ドルの賄賂を受け取っていた。18日、米紙「ワシントン・ポスト」は、米国の軍事情報通の政府関係筋がほぼ確実と指摘する疑惑を報じた。19日の2期目の就任式で、アフガニスタンのカルザイ大統領は、「腐敗根絶」を目標に掲げたが、アフガニスタンは、中国に次ぐ世界二番めの腐敗国とされる。

 国民は腐敗政府に愛想をつかしており、反政府武装主義タリバン支持の動きも出てきているという。米政府、欧州諸国がアフガン戦略への見直しを進める重要な時期でもあり、賄賂疑惑の報道はカルザイ政権に圧力をかけている。

 アイナク銅山開発落札

 今回問題となった賄賂は、07年12月にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで、アイナク(Aynak)銅山開発落札の見返りに、中国冶金科工集団公司(MCC)からイブラヒム・アデル鉱工業相に支払われたとされる。

 金属資源情報センターによると、中国冶金科工集団公司(MCC)と中国最大手の銅生産企業である江西銅業集団公司は、昨年5月25日、43億ドル投資総額でアイナック銅鉱床開発協議を正式に締結している。

 アイナック銅鉱は、銅含有金属量1100万トンの超大型の銅鉱床。銅鉱の権益の75%が中国冶金、25%が江西銅業に割り当てられている。契約は建設期間5年。インフラ設備には、火力発電所、ポンプ・ステーション、また学校、病院、イスラム教のモスクなど公共サービス施設が含まれていた。しかし、現在、これらの開発は、18ヶ月遅れと伝えられている。

 「ワシントン・ポスト」の報道によると、アデル鉱工業相は、欧米企業の提案を適切に考慮することなく、最初から中国冶金だけに絞っていたと、企業選定過程に参与したアフガニスタンとアメリカの一部の高官は憤っていた。

 変わらぬ体制

 19日、アデル鉱工業相は、アイナック銅山にまつわる収賄疑惑を否定。中国企業の開発事業案が欧米より優れていたため選定したと主張している。

 現在、鉱工業省は、鉄鉱石の埋蔵するカブール西部のハジ・ガク(Haji Gak)で、巨額な取引を検討中。 昨年アイナック銅山を落札した中国冶金(MCC)が有力視されている。「もう既に決まっている」と、匿名を希望する高官は「ワシントン・ポスト」紙に語った。

 腐敗が阻む資源利用

 かつて鉱工業省顧問を務めたアメリカの地質学者ジェイムズ・イェーガー氏による同プロジェクトの報告によると、アイナック銅山の銅埋蔵量は、年間2億ドルを政府にもたらすに充分とされる。昨年のアフガニスタン政府の予算の三分の一にあたる。同報告書では、「意志の強い鉱工業相がアジア企業との提携に好意を寄せる、不透明で不十分な入札過程」が批判されている。実際、入札を評価する会合でアデル鉱工業相がいかに威圧的な存在であるかを複数の高官が証言している。

 アフガニスタンは、銅、鉄鋼、大理石、金、貴石などの鉱物資源が豊富で、鉱工業部門だけで国家の主な収益がまかなえるほどだ。しかし、現在、主要鉱山は一つも稼働していない。

 米国およびアフガニスタンの前高官らは、汚職と担当者の能力欠如が業界の開発を妨げており、投資家も近寄らないと指摘する。不正行為がパターン化しており、世界銀行の定める手続きもアフガニスタン政府の定める手続きも、再三、無視されており、謝礼金が交わされていることは、まず疑いないと語る。

 セメント工場の私営化

 アデル鉱工業相は、2006年3月に就任。旧ソ連のレニングラードでエンジニアの教育を受けた。独裁者的な態度から、アフガニスタンおよびアメリカの高官からは離れた立場をとっており、鉱工業相と代理相の収賄疑惑の噂は後を絶たない。

 就任後、最初の主な契約は、アフガニスタン北部の石灰石の丘にあるゴリ(Ghori)セメント工場の私有化だった。同国で稼働している唯一のセメント工場だ。前任のモハンマド・セデク氏によると、アフガニスタンのハミッド・カルザイ大統領の弟であり、アフガン投資会社社長のマハムード・カルザイ氏がこの工場の入手を求めてきた。そして、大統領の指示で鉱工業相はセデク氏からアデル氏へと交替する。

 交替後、アデル鉱工業相はすぐにプロジェクトの入札に取りかかった。入札にあたったアリア・ザミン(Aria Zamin)社のナシル・キスロウ・パルシ(Nasir Khisrow Parsi)氏によると、入札の最終日、アデル鉱工業相が権利保証として現金2500万ドルを要求してきたが、同氏は、入札の手続き規範に違反する間違った行為だと拒否した。しかし、カルザイ大統領の弟は、所望の現金を用意し、プロジェクトはアフガン投資会社に落札した。

 現在、鉱工業省の地学部門で働くパルシ氏は、「鉱工業省全体が腐りきっている。汚れていない人間は一人もいない。この腐敗を止めることができるのは、神のみだ」と現状を憂えている。

(編集・鶴田)


 (09/11/24 08:20)  





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