甘い炭酸飲料だけでない「糖尿病リスクの高いドリンク3種」

コーラサイダーなど、糖度が高い炭酸飲料を大量かつ日常的に飲むことが、高血糖を招き、糖尿病などの慢性疾患を引き起こす要因の一つになることは、よく知られています。

「水がわりに、コーラをガブ飲み」で糖尿病に

台湾の著名歌手・孫情氏が先日、自身で明らかにしたところによると、同氏は20年来「水は、味がないから嫌いだ。飲まない」といって、水の代わりにコーラをガブ飲みし、毎回の食事には好きな米飯を2杯、欠かさず食べてきました。その結果、孫氏は糖尿病になり、病状が徐々に悪化しています。

コーラやサイダーなどの砂糖入りの炭酸飲料は、非常にポピュラーな飲み物であり、これらを日常的に飲む人も少なくありません。しかし、多くの研究により、糖分を含む飲料を過剰に飲むと、肥満、糖尿病、その他の慢性疾患を誘発しやすいことが証明されています。
米国糖尿病学会が発行する専門誌『Diabetes Care(糖尿病ケア)』が2010年に発表した「糖分を含む飲料と糖尿病のリスクに関する研究」によると、1日に1種類以上の糖分を含む飲料を飲む人は、糖分を含む飲料を飲まない人に比べて「糖尿病になるリスクが26%高い」と指摘しています。

病気になる前に、考えておきたいこと

一般的に、糖分を含む飲料は、健康な人が限度を守って飲む限り、糖尿病の原因になることはありません。
しかし、糖度の高い飲料は、高カロリーであるため、運動によって摂取カロリーを消費できなくなれば内臓脂肪として蓄積され、肥満を招くことがあります。

内臓脂肪が蓄積すると、血液中から筋肉へエネルギー源となる糖(グルコース)を取り込む際のインスリン抵抗が上昇するため、筋肉はエネルギーを得られず、非常に疲れやすくなり、また血中に糖が残留するようになります。
血糖値が高い状態が続けば、やがて毛細血管に深刻なダメージを与え、失明や手足の壊疽、腎機能の損傷により人工透析が必要、などの重篤な合併症を招きかねません。

そこで、高血糖にならないように、膵臓は、より多くのインスリンを分泌して血糖値をコントロールする必要がでてきます。このとき、脾臓が疲弊して分泌するインスリンが足らない場合は、すでに典型的な2型糖尿病であり、インスリン注射などが不可欠になります。
こうした残念な結果になることを避けるために、病気にならないうちから、肥満防止と血糖値の自己コントロールには、努めて関心をもつようにしていただきたいのです。

注意したい「3種の飲料」

特に、糖度の高い飲料に含まれる砂糖は、雑味のある原料糖ではなく、精製されたものであるため、飲んだ後の血糖値の上昇が急激であることもリスク要因となります。

さて「糖度の高い飲料」として、よくコーラやサイダーが例示されますが、その他に、注意すべき飲料はないでしょうか。
ハーバード大学公共衛生学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)によると、コーラやサイダーの他に、以下の3種の飲料にも多くの糖分が含まれており、飲む量を制限すべきだとしています。

1、 エナジードリンク
いくつかの異なる種類のエナジードリンクを調べたところ、いずれも糖度がサイダーと同じくらい多かった。また、エナジードリンクに含まれるカフェインは、大量摂取すれば血圧が上昇することが分かっている。その他の添加物が健康に及ぼす長期的な影響は、まだ不明。ハーバードの同学院は「エナジードリンクは飲まない方がいい」と助言する。

2、 スポーツドリンク
これらの飲料は、スポーツ選手が運動で失ったカロリー、電解質、水分を補給するのに役立つ。しかし、スポーツをしない人にとっては「糖分を摂取する、もう一つのソース」になってしまう。多くは飲まないほうがよい。

3、 天然果汁
天然果汁には、ビタミンやミネラルなどの栄養素が含まれているが、サイダーと同じくらいの糖分も含まれている。それは天然の果糖であるが、飲む量が過剰にならないよう注意しなければならない。

やっぱり「肥満防止と適度な運動」を

では、コーラやサイダー、および上記の「3種の飲料」に代替して、「無糖の炭酸飲料」や「ゼロカロリーのコーラ」を飲むならば健康的と言えるでしょうか。

確かに、砂糖に比べて、代替糖のカロリーは極めて低いものです。

代替糖は、およそ2種類に分けられます。一つは、糖アルコール類の栄養性甘味料。もう一つは、人工甘味料であるアスパルテームのような非栄養性甘味料です。

アスパルテームは甘さが十分あり、含まれるカロリーもほとんど無視できるため、糖尿病治療中の人も飲用できます。
ただ長期的に見て、これらの甘味料が人の健康にどのような影響を与えるかは、今のところ定かではありません。

学術誌『Current Developments in Nutrition(栄養学の現在の発展)』の2018年の研究では、砂糖入り飲料の代替品である無糖炭酸飲料を飲んでも、糖尿病のリスクが下がらない可能性があると指摘しています。

やはり、飲み物以外の食事にも十分気を配り、適度な運動をとり入れて、肥満防止を心がけるようにしましょう。

(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)