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世界報道写真大賞を受賞した写真の前に佇むティム・へザリントン(右)写真には、アフガニスタンで疲弊した米兵士が映っている (MARCEL ANTONISSE/AFP/Getty Images)

国境を越えてストーリーを語る=写真家ティム・へザリントン

 【大紀元日本12月3日】

 イギリスの写真家ティム・へザリントン(Tim Hetherington)を的確に表現する言葉が見つからない。

 フォト・ジャーナリストともいえるが、「フィルム・メーカー」(映画製作者)ともいえる。彼は記者であると同時に、メディアを通して人々の心に語りかける「ストーリー・テラー」という役割も担っている。

 ロンドン生まれのヘザリントンは2007年、彼の撮影した写真が世界報道写真大賞に選ばれ、一躍有名となった。受賞したのはアフガニスタンの前線で疲れ果てた米兵のスナップショット。ヘザリントンは、世界の紛争地帯や政治情勢の不安定な地域を駆け巡り、民族や国の間で翻弄される人々をダイナミックに映し出す。

 「僕は、写真家という狭いカテゴリーに属したり、アート・ギャラリーに展示されたりすることにも興味がない。いわゆる、フォトグラファーの主流派から教えられていることにもね」

 ヘザリントン自身は、どのカテゴリーに属することも好まない。単なる写真だけでは収まりきれない、ニュースの裏にある歴史を伝えたいからだ。最近出版された彼の著書「「Long Story Bit by Bit: Liberia Retold」(リベリアを再び語る:長い話を少しずつ)は、メディアを通して読者と“コミュニケーション”を図る新しい試みだ。

 本の中には、リベリアの軍事指導者や反乱軍の若い兵士、民主主義活動家たちなどのスナップショットから、さびれたビルや破壊された森などの風景写真もある。フルページの写真のすぐ後には、歴史的事件の詳細が記され、14年続いたリベリア紛争の悲劇が伝わってくる。

 ヘザリントンはまた、映画製作者としての顔も見せる。彼が契約している米雑誌「ヴァニティー・フェア―」の同僚と共に、アフガニスタンへ派遣された米軍兵士を追ったドキュメンタリー映画は、来年5月に公開される予定だ。彼は、このドキュメンタリーにはとくに政治的なテーマはないという。「これは、純粋さの喪失を描いたドキュメンタリーだ・・・戦争における若者の描写だ」

 ドキュメンタリー映画には期待の声が多いが、彼自身はその栄光に酔いしれることはない。12年間におよぶ紛争地帯での生活を経た後も、彼は常にベーシックでいることを望んでいる。

 「最高の写真というのは、正直なイメージのことだと思う」とヘザリントンは話す。そして、写真家を続ける限り、自分はあらゆる場所へ飛んでいくだろうと語る。「戦争に関する記事を書くだけなら、安全な都市にいればいいだろう。でも、写真家としては、そうはいかない。イメージを映し出すには、自分がそこにいなければならないし、それを体験して、実際に見ることが大切なんだ」

(大紀元記者・Genevieve Long、翻訳編集・田中)


 (09/12/03 05:00)  





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