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やかん修理を営む父親のそばに座る男の子。2006年5月、河北省保定市の市場で(Guang Niu/Getty Images)

中国の「縁故資本主義」:前進中の堕落

 【大紀元日本1月1日】1999年から2006年の7年間で、中国のGDPは倍以上になったと言われる。しかし、この急速成長の成果を味わえたのは、ほんの一部の人だけであり、多くの国民には無縁である。

 中国共産党系の機関紙「解放日報」と「人民日報」の元副編集長・周瑞金氏は最近、中国不動産大手のソーホー中国(SOHO中国)が発行する雑誌「SOHO小報」のインタビューの中で、「特殊利益集団」と呼ばれる特権層の存在は、中国に「縁故資本主義」をもたらすリスクを孕んでいると語った。中国の特殊利益集団は政府上層部に対して、「国家の経済安定」と「産業の安全」を保護するとのスローガンを揚げ、集団利益を守るような政策を要求しながら、下層部の国民や消費者を、「国際慣例」や「中国の特色」と言い訳し弄んでいると周氏は批判した。

 「特殊利益集団」と一般民営企業

 「1990年代に始まった市場経済大ブームの中で、不動産、鉱山資源産業、金融証券業およびエネルギー産業などの業界では、政府と商人が結託する現象がよく見られた」と周瑞金氏は話す。

 21世紀に入ってから、国有企業が前進し、民間企業が後退するという「国進民退」の傾向が強まり、民営企業の発展が政府に大きく抑制されてきた。また、多くの民営企業の社長や取締役は政府高官の経歴を持つ人物で、それら特殊利益集団が権勢を後ろ盾に利益を貪ってきたという。

 米国経済学者のマンサー・オルソン氏は著書『国家興亡論』で、特殊性(または狭隘性、分利性)利益集団が追求しているのは、競争ではなく分割であり、社会生産率の増加に関心がなく、何もしないで漁夫の利を得るのが目的で、本質上ある種の寄生的「分利集団」であると指摘している。更に、彼らは資源の流動と合理的な配置を阻止し、技術の進歩を阻止する一方で、法律や政治、および官僚主義を利用して駆け引きするコストを値上げさせているとも述べている。

 つまり、特殊利益集団は取引のコストを上げるが、社会経済の利益を下げたということだ。

 権力を背景にする中国の特殊利益集団は、まさしくオルソン氏が指摘したような寄生的分利集団である。中国のいくつかの大規模国有企業は、経営状況や収益の有無を問われることなく、その規模で世界500強にランクインされている。これらの企業が広範囲の経営独占を維持しており、民営企業の存続を脅かしている。

 国務院の国有資産監督管理委員会(国資委)の李栄融・主任は先月、2010年に中央政府出資の国有企業の数をさらに80~100社減少させ、国有企業の構造調整の目標を「国家経済の安定」にすると示した。中国国家統計局によると、2009年12月25日現在で、国有企業の数は14万3000社に上る。

 2008年11月に発動された4兆元経済刺激策について、中国国内の世論では、このような大きな「ケーキ」が国有企業に独占され、民営企業は一層排斥されるだろうとの懸念を示している。今年3月に開催された「両会」(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)において、民営企業を代表する政協委員は中央政府に対し、4兆元の経済刺激策に民営企業も含めるよう要請し、産業振興のために民間企業を配慮するよう呼びかけた。

 また、両会において、民間企業代表の政協委員は、「国有企業の数よりもはるかに多い民間中小企業は中国最大の労働力の源であり、国内総生産(GDP)の増長および雇用環境を保っていくのに欠かせないことから、民間企業の存続を保つことが肝要だ」と主張した。

 にもかかわらず、今年、民営中小企業は経営不振で相次ぎ倒産し、特に鋼鉄、不動産業界においては収益が低迷した民営企業が国有企業に買収されるケースが多かった。

 非公有制経済のGDP4%増は、国民にもたらす恩恵が多い

 米国イエール大学の陳志武・金融経済学教授が70カ国の経済統計データを比較した結果によると、公有制である中国のGDP8%増よりも、非公有制経済下でのGDP4%増の方が、社会にもたらす繁栄が大きいという。

 周瑞金氏は、非公有制経済体制の下で、国民がGDP増長を享受するには、労働収入の増加以外に、資産価値の増大による所得の増加という方法もあるという。しかしながら、中国のGDP増長は国民に労働収入の増加しかもたらさず、資産価値の増大による恩恵は国有制にシャットアウトされてきた。例えば、不動産価格が急上昇を続けている中国では、土地の価値が上がっているにもかかわらず、結局それらの資産所得は財政政策やその他の方法で地方政府と中央政府のポケットの中に入っていく、と周瑞金氏は説明する。

 また、強勢資本エリートと強勢権力エリートの結託によって、国有資産が分割され併合されており、本来国民全体が所有すべき公共資源を独占し浪費している。さらに、政府関連部門の民営経済への干渉、抑制および利益のはく奪は、社会経済の活力をひどく抑えつけてきた。

 特殊利益集団と弱勢グループ

 中国の富の集中度は、欧米先進国を超えた。世界銀行によると、100万米ドル以上の金融資産を有する家庭は中国全体の1%でありながら、41・4%の富を支配している。また、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の調査によると、中国では、0・4%の家庭が国家の70%の富を握っている。先進国の場合、通常5%の家庭が国家の50~60%の富を握るという。

 1990年から2006年まで、中国の経済規模は倍以上に増大したが、中国社会科学院が2007年11月22日に発表した「2007年企業青書」によると、GDPに占める賃金総額の比率は15年間で12ポイントも低下したという。2007年に世界銀行が中国の経済状況について発表した報告によると、2001年から2005年の間、中国の経済は毎年平均10%増で成長しているが、13億人の10%を占める貧困層の実質収入は2・4%減少した。

 経済成長と、多くの非公職就業者(共産党政府機関、およびその関連事業の就業者や行政公務員などではない一般就業者を指す)の所得とは足並みが揃っていない。大部分の中国国民は経済の急速成長の恩恵を享受していないことが明らかとなったのである。

(翻訳編集・張哲)


 (10/01/01 10:28)  





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