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「アバター」の中国語ポスター

「アバター」2D版、中国で上映中止に 強制立ち退き事情の連想恐れてか

 【大紀元日本1月26日】米国SF映画「アバター」の通常版(2D版)の上映が、先週から中国各地の映画館で打ち切られ始めた。1月4日から3D版及びアイマックス(IMAX)版を含めた上映は、5・5憶元(約72億円)の売上を出し、中国映画史上最高の初日記録を作ったが、今後3D映画及びIMAX版のみの上映となり、上映規模は大きく縮小された。背景に、映画の内容が中国の強制立ち退き現状を連想させる恐れがあるとの見方もある。

 映画業界上層部の関係者の話を引用した中国国内報道では、国産新映画「孔子」の上映開始に伴い、政府当局が「アバター」通常版は1月22日から上映の打ち切りを命じたと報じている。一方、中国国家広電総局は、指導部が「アバター」の上映中止を指示したことについて否定し、「アバター」通常版の上映打ち切りが「市場の規律に一致したからだ」と述べているという。

 中国国内の一部の識者は、映画の中で、豊富な資源を狙って地球人が衛星パンドラに生息し、神や自然を敬い自然と調和しながら生きるナヴィ人を追い払うシーンは、現在中国各地で起きている強制立ち退き事情と非常に似ていると示した。事実、ネット上の掲示板への書き込みや作家たちの評論などを見ると、多くの中国国民がこのような共感を持っているようだ。

 海外メディアは、中国の強制立ち退きの現状を反映しているため、「アバター」が上映中止になったのではないかと推測する。ウォール・ストリート・ジャーナル中国語電子版は、「アバター」の上映中止に関して、「『アバター』2D版は中国で強制立ち退きさせられた」との題名で報道した。

 「アバター」を観賞した多くの中国人はこの映画の美しいシーンに釘付けになっただけでなく、地球人の侵入に対するナヴィ人の抵抗にも心を打たれた。この映画から中国人観衆が、中国で今起きている空前の強制立ち退きという現実を見極めることができたかもしれない。

 若い人気作家の韓寒氏は自身のブログで、「野蛮な強制立ち退きが起きているのは、地球外の惑星と中国だけだ」と皮肉った。中国英字紙「チャイナ・ディリー」コラムニストの洪晃氏は同紙で、「中国で起きている強制立ち退きによって、われわれ中国人は地球上で、ナヴィ人の苦しみを最も理解できる人となった」と述べた。

 中国のネットユーザーは、「『アバター』は毎日のように報道されている国内の強制立ち退き事件と偶然にもびったり合っているから、最も国際主義精神がある外国語映画として受賞すべきだ」とネット掲示板で皮肉った。

 近年、中国国内ではほぼ毎日のように、暴力的な強制立ち退きに関するニュースが報道されている。特に最近、四川省成都市及び北京で、強制立ち退きに抵抗する住民が焼身自殺を図った事件が発生した。立ち退きを行う地方政府当局関係者が強制的に住宅に侵入したため、抵抗する住民に刺殺された事件も報道されている。

 また、住宅価格が急騰した現在の中国社会に生きる人々の日常を描き、国民から高い支持を得た国産テレビドラマ「蝸居」も政府高層部からの指示で放送中止となった。多くの国民は、同ドラマが腐敗を暴露したため、官商集団から不満を招いたのが原因だと考えている。

 現実社会を描いた国産ドラマにしても、米国SF映画にしても、政府にとって不都合であれば、封殺される運命は同じだ。

(翻訳編集・張哲)


 (10/01/26 08:25)  





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