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『アジア 舞踊の 人類学』
(PARCO出版)

【本との話】人は誰も「人間の翼を夢みない」日はない

 【大紀元日本1月29日】

 舞いと踊りをセットにして舞踊という言葉が創られました。舞いは手の、踊りは足の所作のことです。舞踏は大地を踏み固める足の所作に注意を促すネーミングです。

 人種・民族の東西を問わず、王宮あるいは神殿という聖なる場所で、舞踊の祖型が発展継承されてきました。神殿における儀式舞踊の中にその面影を宿しています。いわゆる神殿舞踏と呼ばれるものです。

 この本の著者・宮尾慈良さんは1972年からインドネシアのバリ島を振り出しに、インド・ビルマ・タイ・シンガポール・マレーシア・台湾などアジア諸地域をフィールドワークして、舞踊の人類学的な意味を探求しました。

 「あらゆる芸術形態の根底に舞踊があるのではないかという仮想を抱き、それを実証してゆく過程」の確認を読者と共にこの本で問いかけています。スリランカの石窟やジャワ島の宮廷にある古式豊かな舞踊像、中でも南インドの聖地チダムバラムのシバ寺院の石版に描かれた108のカラナ(舞踊姿態)像は、インド舞踊の基本形を学ぶインスピレーションの源泉です。カラナには模倣困難なアクロバティックな姿態があります。

 これについて宮尾さんは「カラナ像の108の石版像は、人間の身体をいま一度、神が創造した心と身体にするために必要な柔軟運動の姿態であり、神々の舞踊をするのに人間的で後天的な心身であってはならないとでもいうべき儀式姿態と考えられる。この訓練をしなければ祭儀に加わることができないのは、身体の籠りに似ている。人間は身体には困難な動態をとることによって、人間性を抹殺しようとしてきたのであろう。それは舞踊が神の顕現であるからにほかならない」と核心を突く解説をおこなっています。

 神々が乳海を凝り固めることによって、人類が降り立つ大地が造成されました。大相撲の土俵入りで見られる足で大地を踏み固める所作は、神々が国を生む儀式舞踏の遺産とみなすことができるでしょう。大地に降り立つ前に人類が有していた柔らかな身体から、2足直立歩行を促す固い身体=骨を生み出す必要があったのです。太古の舞踏=神殿舞踏はある意味で、人体の造成を成就するものでもありました。

 神殿舞踏から生まれたバレーやモダンダンスやフラメンコ、現代化された民族舞踊は、身体を固める方向へと限りなく展開されてきたものです。特にバレーの足態の技の中に、メカニカルな身体の所作の行き着くところを発見することができます。しかしすでに人類の身体は、柔らかな身体を目指して大空へと上昇し始めました。神々の故郷の身体を自覚的に獲得しなければならない転換点を、私たちは通過しているのです。

 大地に閉じ込められた固い身体を解き放つ柔らかな身体は、大空へと向かう手の舞態の未来にかかっているといえるでしょう。大地から飛翔した身体が有する手の舞は、天使の翼をモデルに、人間の中から創造する新たな神殿舞踏となることでしょう。

(そら)


 (10/01/29 05:00)  





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