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親心

 【大紀元日本2月27日】ベッドに入ったのは11時頃だった。冷えた布団の中で丸くなりながら、目覚まし時計に手を伸ばした。しまった。止まっていた。電池切れのようだ。今度は手を電話に伸ばした。

 「お母さん、目覚ましが電池切れになっちゃった。明日の朝、大事な会議があるから、早く会社に行かなきゃならない。6時に起こしてくれてもいい?」

 「わかった。いいわよ」と電話の向こうの母の声は少しかすれていた。起こしてしまったのかな。

 電話が鳴った時はまだ夢の中だった。

 「大事な会議があるでしょう。もう起きなさい」。

 窓の外はまだ真っ暗。腕時計に目をやったら、まだ5時40分だった。

 「早すぎるよ、お母さん。6時って言ったじゃないか。まだまだ眠れたのに、まったく」。苛立ちが母に伝わったのか、電話の向こうの母が黙り込んだ。

 20分の睡眠の大切さは母が全くわかっていない。その苛立ちを抱えたまま、外に出た。寒い。寝ている間に雪が積もっていた。早朝のバス停には老夫婦しかいなかった。

 「あんた、一晩中ちゃんと寝ていないじゃないかい。こんなに待つなら、もう少ししてから来てもよかったなあ」とおじいちゃんはおばあちゃんに文句をこぼしていた。

 周りはまだ真っ暗。足踏みをしながら5分ぐらい待ったところで、やっと始発が来た。運転手は若い男性だった。私が乗り込んだのを見て、発車してしまったのだ。

 「待って。まだ2人のお年寄りがいるよ。この寒さの中でずっと待っていたんだよ」「平気、平気。あの2人は僕の親父とおかんさ。今日は僕の初出勤で、親父とおかんは見に来たのさ」。運転手が誇らしげに言った。

 メールが来た。父からだった。「早く起こしちゃって、お母さんはごめんと言っている。あんたが遅れるといけないから、お母さんは早くから起きていたんだ」と。目頭が熱くなった。

 ユダヤ人の諺を思い出した。

 「父親からプレゼントをもらった息子は、笑った。

 息子からプレゼントをもらった父親は、泣いた。」

(翻訳編集・心明)


 (10/02/27 05:00)  





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