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河北省石家庄市の弁護士事務所にかけてある中共党支部の看板(ネット写真)

弁護士事務所に共産党支部が普及 疑われる中国の法治建設

 【大紀元日本2月24日】「依法治国」(法に依って国を治める)の方針を出し、法治国家建設を推進させようと誓う共産党政権の中国では近年、弁護士事務所での共産党支部設立の動きが急がせられている。近年増え続ける民衆による集団抗議事件で、弁護士が被害者の代理人として政府を訴えることを防御するためだ。

 中国国営通信・新華ネット16日付の報道によると、2008年に中国司法部は弁護士事務所へ共産党支部の設立を下達して以来、中国司法部の統計では、09年6月までに、全国の1万4千714カ所の事務所のうちおよそ26%にあたる3895カ所の事務所がすでに共産党の支部を設立。全体の55%を占める8105カ所の事務所が、連合で党支部を設立し、共産党員がいない2741カ所の弁護士事務所には、党支部設立のための指導員や連絡員が派遣されたという。共産党の党支部は、ほぼ全国の弁護士事務所に浸透した。

 中国では、共産党組織が社会の隅々にまで浸透している。政府機関だけでなく、企業、学校、病院などすべての社会組織に「共産党支部」が設立され、同支部の党書記が権力を振るう。7千万人のメンバーがいる党が13億人の国民の末端まで管理する恐るべきシステムが存在するのだ。日本では当たり前の「三権分立」が存在せず、共産党が全てを支配する中国では、弁護士にもその影響力を及ぼしているようだ。

 党支部の設立について、当初弁護士事務所はあまり積極的ではなかった。しかし、政府の命令に従わない場合には、政府から指導員が派遣され、「事務所の共産党化」が強制的に進められる。中国政府の政策に対して学者たちは、「法治国家の後退」であり、「法制の独立性がなくなる」と批判している。

 「弁護士事務所に中共の党組織を設立するのは、中国の法制の建設にとって不利なこと。この政策は、弁護士をきびしく管理することになり、彼らは独立して業務を行うことができなくなる。地方政府が弁護士事務所の党支部を通じ、民衆の集団トラブルの弁護について政府に協力するよう要請することも発生している。このような状態が進行すれば、中国で法制社会を建設していくのは不可能だ」。中国政法大学の滕彪弁護士は、RFA放送局の取材にそうコメントした。

 滕彪弁護士はまた、次のように指摘している。「このような体制のもとでは、大多数の弁護士が主動的または受動的に政府の工作に協力することになる。そうなると、弁護士としての基本的な職業倫理を失ってしまう」

 この問題について、北京の法学者・王光澤氏は、弁護士事務所は政府直属の機関ではないにもかかわらず、事務所に党支部を設立すれば司法の独立性を大いに揺るがすと指摘する。「弁護士業界というのは、民間的なもので、政府機関ではないはず。しかし、中共の政策に従えば、弁護士事務所も党の付属機関にされてしまう。これは、法律の独立性を極めて危うくする行為だ」

 「中国の法曹界では近年、『三つの至上』という理念が推し進められている。すなわち、中国共産党の利益が至上、人民の利益が至上、法律が至上。この中で、党の利益が最も重要な位置に置かれている。法律の目的とは、政党の権力を含めて、公的権力を制限することにあるはず。その次は、一般的な民事上の規範である。しかし、(この政策により)弁護士はきっと中国共産党または行政機関から大いに干渉されることになるだろう。法制の建設において、大きく後退してしまう」と王氏は懸念を示す。

 学者らの懸念とは裏腹に、共産党指導部は独自の理論を展開する。中国紙「南方週末」は昨年、雲南省にある弁護士事務所の中共党支部書記・楊祟玲氏のコメントを報道した。「弁護士は自由な職業だと思われがちだが、その自由というのはある程度の制限がつくものなのだ。特に、民衆の集団的な事件に関する案件や重大で敏感な案件においては、弁護士の政治方向の把握は非常に重要だ」

 中国司法部副部長の趙大程氏は、「安定を守るという中共中央の方針を貫き、その任務を実行し、社会の安定を維持することは、弁護士たちの『最重要の政治責任』である」

 昨年8月、中国司法部部長・呉愛英氏は、政治を重視し大局を顧みるように弁護士を教育すべきだという談話を発表した。「法律に従って国を治める」という中国共産党の謳い文句とは逆の方向へ向かっていると、ネットでは騒然となっている。

新疆の弁護士事務所で行われた中共党支部設立の除幕式(ネット写真)

北京市商安弁護士事務所で中共の党支部が設立(ネット写真)

(翻訳編集・小林)


 (10/02/24 07:54)  





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