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(写真・大紀元)

雛人形が語りかける伝統美の世界 
―目黒雅叙園「百段雛まつり」を訪ねて―

 【大紀元日本3月1日】松尾芭蕉が『おくの細道』へ旅立ったのが元禄2年(1689年)の弥生3月。その第1句が「草の戸も住み替る代ぞひなの家」であることはよく知られている。この頃、江戸の町民の間でも、節句に雛人形を飾る慣わしが定着していたことが伺われる。

 ひな祭りの起源はいくつかあるが、厄除けと宮中の「ひいな遊び」が習合したものが現在に伝わる雛まつりの原型であるとも言われている。女子の健やかな成長を願って、各家に代々受け継がれている雛人形を飾る親の思いは、いつの時代も変わらない。

 東京・目黒にある目黒雅叙園で「百段雛まつり」が現在開催中だ。雛人形の源流とされている紙雛、伝統的な立雛(たちびな)や享保雛(きょうほうびな)、古今雛(こきんびな)など、江戸から昭和までの各時代を代表する雛人形の名品の数々が、テーマごとに展示されている。めったに見ることのできない酒田の旧家「加藤家」の雛人形をはじめ、各時代を映し出す秀逸な雛人形がたたずむ空間は、まるで雛人形が語りかけてくるような雅と伝統美の静謐な世界となっている。

 雛人形が展示されている七つの部屋へ続く「百段階段」は、目黒雅叙園に現存する唯一の木造建築で、09年3月16日に東京都の指定有形文化財に指定されている。欅作りの階段は99段。その南側に配置された七つの部屋には、樹齢百年の床柱、天井や欄間に施された見事な螺鈿細工や日本画など、江戸文化の贅を受け継ぐ昭和の名工名手による匠の技が大切に保存されており、見学者の目を驚かす。

 目黒雅叙園は昭和6年、日本で最初に誕生した総合結婚式場として知られる。結婚式場、宿泊、食事のほか「百段階段」を会場とする展示会などのイベントも数多く催されるという。

 今回の「百段雛まつり」は3月3日まで。3月19日から4月11日まで「片岡鶴太郎展 ~桜小路 春の宵~」が開催される。目黒駅より会場までは徒歩3分。その他にも期間限定で「百段階段」の見学はできるが、予約が必要な場合がある。詳しくは、目黒雅叙園03-3491-4111(大代表)へ事前確認を。

 (取材協力、目黒雅叙園)

(園田)


 (10/03/01 05:00)  





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