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トヨタ自動車の前で取引する中国人のディーラー。写真は昨年9月、北京の販売店で(Photo by Scott Olson/Getty Images)

トヨタ車リコール:「日本経済の中年危機」=中国メディア・消費者

 【大紀元日本2月11日】自動車大手トヨタは先日、中国で販売された70万台を超える同社自動車をリコールすると発表した。2004年に中国でリコール制度が施行されて以来、最大規模のリコール事件となった。「車で山の前まで来たらそこに必ず道がある。道があるところで必ずトヨタ車がある」(車到山前必有路、有路必有豊田車)。中国全国民に熟知されるこの広告用語は、製品の安全性において「不滅の神話」というトヨタ車のイメージを伝えている。製品の安全問題で何かと矢面に立たされている中国では、メディアと消費者が同事件に高い関心を寄せている。

 根本な原因はコスト削減と加速の発展?

 「トヨタ車が近年採用している部品共通化策略はコスト削減の肝心な部分だが、今回の事件に至った原因でもある」。「中国質量ニュースサイト」2日付けの記事は、このように分析している。

 「マーケットの占有率や短期利益を追求せず、すべて眺めの視点から考える策略を昔のトヨタは取っていた。これによってトヨタは合理的な値段や高いクオリティのブランドイメージを確立させた。しかしトヨタの伝統的な生産方式は近年消えており、代わりに業界内で「トヨタ生産方式」と知られている管理モデルを採用している。この管理モデルは、車体生産者を部品サプライヤーと協力させ、内部のすべての企業を同じシステムに統合させる仕組み。このシステムはトヨタに厖大な利益をもたらしたが、今回の事件の種もまいた。いわゆる「(韓信を)成功させたのは蕭何、失敗させたのも蕭何」(成也蕭何 敗也蕭何)。中国質量ニュースサイトの記事は、トヨタ車のクオリティ低下の原因を、トヨタの部品共通化策略にあると指摘している。

 過度の加速発展も原因の一つと、同記事は指摘する。「トヨタの世界規模でのリコール事件は、2005年~2009年の間に集中している。それも、トヨタ車の拡大スピードのピーク時。快速の拡張は、トヨタ生産モデルに大きなプレッシャーをもたらし、昔のクオリティで維持できた優勢を落とさせてしまった」という。

 中国の経済権威紙「毎日経済新聞」は、業界内アナリストの分析を引用して、リコール事件の起因をトヨタ車の行き過ぎの発展スピードに帰している。

 「拡張スピードは加速しすぎで、管理能力を超えている。部品問題は単なる管理問題の表面化だ」と業界のアナリスト・鐘師氏は指摘する。

 日本経済の中年危機

 また、今回のリコール事件は、トヨタのみではなく日本経済全体が危機に来ているとの見方もある。中国経済専門家で、香港の経済専門サイト「経済通」のコラムリスト・陶冬氏は、世界マーケットの占有率を躍進させるという目標の中、トヨタが自分のアイデンティティを見失い、品質の極めを放棄した結果であると指摘する。

 「トヨタに自己認知危機が起きた。市場のリーダーとなったトヨタは、激励の目標が消え、自分の新しいアイデンティティに適応できず、これまでの品質への追求を放棄した。トヨタに欠けつつある自己認知危機は、ある程度ほかの日本企業にも存在していると言える。これらの日本企業は、マーケットの追求者からリーダーの座を奪った後、ネックの状況に入り、情熱が消え、創造力も減り、体制内部の規制が増えたが、派手で現実的な空想も増えている。数年前のソニーから今日のトヨタまで、日本経済を支えてきた大手企業は、自己認知危機の前に倒れてしまった」

 「トヨタから中国企業は見習うべき」

 今回のリコール事件は、トヨタの基礎を揺るがすことはないと業界のアナリスト鐘師氏が見ている。中国国家情報センター情報資源開発部リーダーの徐長明氏も「毎日経済新聞」に対して、リコール事件はトヨタ車のブランドイメージにとって短期的な影響であるとコメントしている。

 一方、リコールするトヨタの対応について、 トヨタを擁護する声も相次いだ。「中国新聞網」は8日、「中国の自動車メーカーはトヨタから教訓を学ぶべき」と題する記事を掲載している。

 上述の「毎日経済新聞」の記事は、今回の事件の対応において、トヨタの速やかな行動スピードと姿勢は、中国国内のリコール事件に対する対応のなかで前例のなかったものとコメントした。「トヨタは中国国内自動車メーカーによい模範を見せてくれた。保守的な日本自動車メーカーでさえもこのような対応行動を取っているのに、消費者はもっと理性的にトヨタのリコール事件を見るべき」と記す。

 人命を乗せて走る自動車に対しての、今回のばらついたリコール発表は、人命への責任を負っていないことにつながるという批判や、日本車を感情的に蹴落とすブログの並ぶ中、トヨタの対応に好意的な声もある。「どんな製品でも設計上のミスはある。トヨタはその責任をきちんと取ろうとしている。中国国産の製品とは違う。中国では、品質に問題があったらメーカーは言い訳ばかりする。リコールなんて聞いたこともない」、「中国国産車の品質は最高。リコールなんかしたことないからね」というブログも皮肉として受け止められる。「中国車に問題が発生したら、まず、記者に口止め料を支払う。これでリコールする必要もないし、金も掛からないからね」と、トヨタは隠蔽の技術に欠けているという批判まである。

 「BMW社に始まり、クライスラー、そして今回のトヨタ。なぜ外国のメーカーばかりなのか。中国国産の車に不具合がないわけがない。トヨタへの批判が繰り広げられているが、トヨタが謝罪していることに気づいてほしい。メラミン入り毒ミルク事件のとき、消費者に謝罪した責任者はいただろうか」というコメントも見られる。

 また、「トヨタは事故防止のために高額の損失も顧みずにリコールを決定した。被害者数万人にも上るメラミン入り毒ミルクはわずか2年で再発している。一部のメーカーは利益を上げるために、処分されたはずの毒ミルクを再び流通させたようだ。人命軽視そのもので、悪質としか言いようがない。中国の企業はトヨタを見習い、過ちを認めるべきだ」というコメントや、「日本企業には敬服した。各方面で中国人が見習う点が多い」などの声もあり、腐敗に毒されていない中国人の心を垣間みさせてくれる。

(大紀元日本語翻訳編集チーム)


 (10/02/11 10:52)  





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