インタビュー:安保念頭に中国と半導体で協力案=自民・甘利氏

2019/09/26
更新: 2019/09/26

[東京 25日 ロイター] – 自民党内の「ルール形成戦略議員連盟」の甘利明会長(税制調査会会長)は、中国を念頭に、米国との共同研究に携わる日本企業は米技術の同盟国外への漏えい防止のため、社内のファイアーウォールの仕様と運用を強化する必要があるとの考えを示した。一方、来春の日中首脳会談に向け、中国との環境対応車での技術協力や、最先端分野以外の半導体の請負生産なども検討案だと語った。ロイターとのインタビューで語った。

<安全保障念頭に、ハイテク以外の分野で中国と協力>

甘利氏は「経済政策・外交政策・貿易政策は世界の中で絡み合って進んでいる。米国が国家経済会議(NEC)の強化を図っているように、経済・外交・貿易については密接な情報交換が必要だ」との考えを示した。

米国では、ハイテク分野での中国への情報漏えい回避に神経をとがらせている。甘利氏は、日本としても「米国に懸念を与えないという意味で、中国とはハイテクでない分野での事業協力が中心になる」との基本認識を示した。

中でも、半導体分野については「(次世代通信規格)5Gの分野については同盟国内でサプライチェーンが完結するように米国は要請しており、日本も足並みをそろえなければならない。チップ1つでもスパイチップになり得る。情報が漏えいすることになる」と指摘した。 

<環境対応車と半導体で協力>

甘利氏の議連では、来春訪日する予定の習近平・中国国家主席と安倍晋三首相の会談に向け、中国との環境対応自動車での協力を提言する方向だ。すでにトヨタ自動車<7203.T>はハイブリッド技術を公開しており、民間協力を支援する狙いがありそうだ。

これに加え、5G関連といった最先端分野以外の半導体製造についても協力を模索中だ。中国政府が計画している半導体増産には大量のきれいな水が必要だが、中国には人や技術、土地はあっても水が不足しているとの読みが日本側にある。水の豊富な日本が請け負って半導体を生産するという案が浮上している。

ただ、まだどの程度の生産能力が日本にあるのか、どの企業が請け負うのか、受注確定の仕組みをどう構築するのかなどの課題が残り、まだ議連としての提言には時間がかかりそうだという。中国側とは水の懸念についての打診から始まり、いずれ「経産大臣との協議でそうした話が出ることになっていくのではないか」と甘利氏は述べた。

*内容を追加して再送します。

(中川泉 山崎牧子)

Reuters
関連特集: 国際