THE EPOCH TIMES

世界を買い込む 中国大陸の観光客(一)

2010年09月18日 08時51分
 【大紀元日本9月18日】秋葉原の電器街、いたる所で聞こえてくる中国語。銀座の高級店で、中国人に一掃されたため入手困難となったブランド時計。ニューヨークの5番街で、大金を惜しまず競ってブランドバッグを買い、豪州で贅沢な住宅と土地を購入する中国人。世界を買い込む中国大陸の観光客。

 以前は、香港やマカオからの観光客が中国人旅行者数の3分の2を占めていた。しかし、今日では、カメラを持って海外ツアーに参加する中国大陸の観光客が世界各地で見られる。

 2007年12月、中国公民外国旅行目的地(ADS)の許可を得たアメリカや、2009年7月に中国の富裕層(年収25万元以上)を対象に個人観光ビザの発給を開始した日本、また、今年夏から中国人への観光ビザ発行条件を緩和すると発表した韓国など、経済低迷中にある世界各国政府は知恵を絞り、中国人向けの観光市場を「経済回復」の一策として、中国という巨大市場を狙っている。

 しかし、今日の中国人は本当に金持ちになったのだろうか。9月第188期の海外中国語週刊誌「新紀元」は、世界各地を飛び回る中国大陸の観光客の様相を描いた。 本サイトでは4回に分けて、ヨーロッパ、ニューヨーク、日本、豪州を訪れたこれらの中国人観光客を紹介する。

 
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中国人旅行者に、新たな海外観光の傾向 @文・王浄文


 海外観光。20年前、中国大陸の人々には想像もつかない言葉だった。しかし、ここ10年で中国人の海外旅行の回数は毎年22%のペースで増加し、大金を惜しまずに買い物をするイメージを現地の人々に与えている。

 昨年、中国人の海外観光の消費総額は437億ドルを記録し
台湾の阿里(アリ)山の日出を撮影する中国人観光客(AFP)

、前年度の362億ドルを超え、ドイツ、米国、イギリスに続く世界第4位となった。中国の国家観光局によると、今年の出国者数は、昨年の延べ4220万人を上回り、5200万人に達すると予測されている。このペースで行けば、10年後には毎年1億人の中国人が世界中を旅行することになると、世界観光機関(WTO)は予測している。

 今後増え続ける海外旅行の人数と共に、各国の観光業者らは中国人観光客に新たな可能性を見出している。

 「駆け足旅行」よりテーマの旅へ

 「乗車したら眠って、下車したらトイレを探し、名所では写真を撮り、家に帰ったら何も覚えていない」と、ある観光客は昔の観光をこう形容した。このような昔の「駆け足旅行」より、近年、他国の文化や人情を味わう深みのある旅を求める観光客が増えている。彼らは、短い時間で多くの名所を回る「駆け足旅行」より、文化や歴史的なものが十分に感じられる旅を望んでいるのだ。

 旅行者の多くは若者

 もう一つの新しい傾向は、年齢層の変化。以前は、ヨーロッパ旅行に出る多くは60歳前後が多かったが、今は20代、30代が中心。そのうち、女性が70%を占めている。

 彼女たちは、「ヨーロッパ旅行に出るなら、現地の贅沢品を買わなくちゃ。お金は多く使うべきだし、お金を使うことを恐れない。肝心なことはお金をうまく使うことで、使った分だけ、元を取らなければ」と考えている。

 ヨーロッパの贅沢品で人気があるのは、男女でそれぞれ違う。女性の場合は、ハンドバック、化粧品、水晶のアクセサリーなどで、男性の場合は、ブランドの腕時計に人気があるようだ。

 ホテルより食事

 他の国の観光客に比べて、中国大陸の観光客は泊まるホテルより食事にこだわることが多い。時には、故郷の料理や漬物を求める観光客もいる。中国観光客のために、お冷よりお湯の用意をしたり、朝食を一日分用意したりするホテルも増えている。 

 ブランド品を大量に購入

 「30人で80個のルイ・ヴィトンのバッグを買い求めていた。まるで、市場で白菜を買っているようだった。これまで、こんな光景は見たことがない」。想像を超える中国人観光客の購買力に、ヨーロッパのガイドさんは驚嘆する。

 大陸の観光客に近年見られるもう一つの新しい傾向は、海外の贅沢品を大量に購入することだ。海外の高級店では中国人観光客たちが長蛇の列をつくり、中国産の外国ブランドを競って買う不思議な光景をよく見かける。

 以前は、海外で「Made In China」と書かれたお土産を買ってきたら、全くメンツの立たないことだった。しかし、今の中国は、まさに「世界の工場」。ほとんどの国際ブランド品は中国で生産されるているため、彼らは産地より商標を求めるようになった。

 彼らが海外で大量に買い物をする
中国製の国際ブランド品の米中価格比較表

理由は簡単だ。同じ中国産であっても、海外で買った場合、国内より50~75%安いからだ。

 中国の生活必需品は、海外と比べてあまり値段の差はないが、贅沢品は海外より高い。それは、贅沢品のほとんどが外資系企業により独占されているためだ。そして、貧富の両極化が深刻になりつつある中国で、富裕層の人たちはいくら高くてもその値段を受け入れられるからだ。値段が高いほど人前で自慢できると思いこむ富裕層がいる限り、贅沢品の市場は残るはずだ。

 米国マーケット調査会社・ACネルソンの2007年の調査によると、中国人海外観光客の1人あたりの消費額は、平均で3000ドル、そのうちヨーロッパでの消費額が最も多く、5200ドルにも上る。アメリカ、アジア、香港での消費額はそれぞれ3800、1900、2200ドルで、基本的に日本人観光客と同じ水準。業界では、中国人観光客はすでに「安もの」とは見なされていない。
 
 贅沢な公金旅行者

 大陸の観光客の中には、ある特殊な光景が見られる時がある。それは、公金で旅行する観光客たち。思いきり遊ぶ彼らの姿は、外国人に忘れることのできないほど深い印象を与えている。吉林省の石炭工業局を例にとると、同局は2007年8月から2009年4月までの約1年半の間に9回、延べ51人の海外旅行を催行し、336万元(約4180万円)の公金を費やした。2009年に始まった公金による海外旅行の規制により、公金旅行の経費が半分程度に収まったと、大陸の腐敗予防局は報告しているが、半分に減ったとしても膨大な金額である。また、別の形で出国する多くのケースについては、調べようもない。

 中国人は本当に金持ちになったのか

 調査によると、2008年の中国人による海外での消費総額は362億ドルで、世界5位となった。2009年にはさらにフランスを上回り、4位に躍進。消費総額はドイツ(808ドル)、米国(731億)、イギリス(485億)に次ぐ437億ドルとなった。貧乏だった中国人は、ついに胸を張ることができるようになった。しかし、中国人は本当に金持ちになったのだろうか。

 2009年の米国の1人当たりの年間平均収入が3・76万ドルであるのに比べ、世界第4位の国際旅行消費国となった中国のそれは、一人当たり1100ドルにしかならない。大多数の中国人は、基本的な生活を維持するために苦労し、奔走している。彼らにとって、海外旅行は贅沢な夢にすぎない。中国の海外旅行者が増えたといっても、全国の人口に占める割合からいうと、はるかに他の国に及ばない。例えば、アメリカでは毎年海外旅行に出る人は全人口の12%以上を占める。また、2003年に海外旅行をしたイギリス人の数は延べ6145・3万人で、総人口の5920万を大きく上回り、一人あたり年1回以上海外旅行をしていることになる。

 次回は、ニューヨーク5番街で買い物をする中国人観光客の様子を紹介する。

(翻訳編集・柳小明)


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