THE EPOCH TIMES

【日本語に生きる中国故事成語】 野心

2010年10月02日 07時00分
 【大紀元日本10月2日】

 「尖閣問題に懸念深めるアジア諸国、中国の『野心』を警戒」

 これは某紙9月24日のニュースのタイトルである。

 近年の経済成長に伴い、中国は近隣のアジア諸国にさまざまな形で影響力を強めようとしている。そんな中で起きた今回の尖閣諸島沖での海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件における中国側の高圧的な態度から、近隣諸国は中国の「野心」を読み取り、警戒を強めているというもの。

 欲望を満たすために生きるのが人の性(さが)である以上、何事につけ、成功を収めたい、周りの人より上に立ちたいと思うのも致し方なかろうが、その度を越し、「野心」丸出しで強引に突き進むとき、人々の警戒を招き、反感を買うことになる。

 中国の春秋時代、楚の国の司馬であった子良(しりょう)に子どもが生まれた。名を越椒(えつしょう)と言った。

 子良の兄・子文(しぶん)が越椒を見て、こう言った。「この子は必ず殺せ。容貌が熊のようであり、声は狼のようだ。生かしておけば、我が若敖(じゃくごう)一族は必ずや滅びてしまうだろう。ことわざに「狼子野心」とあるように、狼の子はいくら飼い馴らしても最後まで野性の心を失わず、ついにはその飼い主を害してしまう」

 果たして、越椒は成長した後、楚王に謀反を起こし、若敖一族は滅びることとなった。

 (春秋左氏伝・宣公四年より)

 この故事にあるように、「野心」とは元来、「野性の心」のことで、「人に馴れ親しまず、害を及ぼそうとする心」を指したが、それが転じて、「ひそかに抱く大きな望み」のことを言うようになった。日本語では、いい意味にも悪い意味にも使われる。

(瀬戸)


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