THE EPOCH TIMES

【新紀元】上海万博 中国人のマナー意識をめぐる論戦(一)

2010年10月02日 07時57分
 【大紀元日本10月2日】史上最大規模を誇る上海万博も残り1ヶ月となった。各国パビリオンに勤める外国人スタッフにとっては、万博はすでに長き戦いと化している。不正行為、スリ、落書き、公共物の破損、日常となった「突発事件」などに、外国人スタッフは戸惑い、東方中国に抱いた憧れや好感はいつのまにか失望へと変わってしまった。

 「上海万博:中国人の面目 丸つぶれ」と題する一篇の記事は、そんな「突発事件」に迫ってまとめられている。人気大衆紙・南方週末の陳鳴記者によるこの長編記事は、外国人スタッフの目に映った様々なマナー違反や非常識の出来事をつづっている。同記者は勤め先の「南方週末」のためにこの記事をスクープしたが、「南方週末」で発表された際、万博批判の内容は全部削除され、ニュアンスも全く変貌したため、いら立った作者は自分のブログで元の記事を掲載した。

 一方、ブログ作家・楊恒均氏は、この記事を読んだ後、わざわざ上海万博に足を運んだ。彼もまたチケット販売者から上海万博の数々のカラクリや内幕を聞き出し、参観者のマナー違反を増幅させたのは、誇張した宣伝や歪んだ主旨だと指摘した。「中国人はそんなにマナー意識が低いだろうか?5時間並ぶ長蛇の列、倒れる人もいる。疲れの限界に達した人は、気が狂ってしまうものだ」「中国人はマナー意識が低いというより、良い行動はまず望めないような状況に来館者を陥れた主催者のやり方が問題だ」と楊氏は嘆いた。

 9月第190期の本社中国語週刊誌「新紀元」は、以上の2つの記事を掲載した。本サイトでは4回に分けて紹介する。

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上海万博:中国人の面目 丸つぶれ①
@文・陳鳴


 抑えきれない「熱情」

 2ヶ月前、アナスタシアさんは上海万博に期待をふくらませていた。しかし今、その期待は完全にしぼんでしまった。

 彼女が働くベラルーシ館内では、参観者たちは大声で騒ぎ
猛暑の中、参観者が作る長蛇の列は万博でよく見られる光景(AFP)

、電話に出るのも傍若無人。白人を見かけると当たり前のようにシャッターを押す。「時には、突然テーブルを叩き、私たちを指差して呼びつけます。『おーい!おーい!おーい!』と。一緒に写真を撮りたいのは分かりますが、動物園のゴリラにでもなったような感じです」と、アナスタシアさんはがっかりした口調で話した。そして、一番ショックだった出来事は、ある中国人のおばあさんが施設の真ん中で、孫に排便させたことだったという。

 目の前の出来事に唖然としたのはアナスタシアさんだけではない。

 キューバ館スタッフのシェラさんも頭を悩ました1人。館の一区画の壁にメッセージスペースを設けたことが「誤り」の始まりだった。メッセージスペースは、瞬く間に広がり、2日もしないうちに、壁全体が埋め尽くされた。シェラさんのいるスタッフ室も難から免れることなく、ガラスの扉のには、「XXがここを訪れた」「XX愛している」と書き込まれてしまった。拭き取っても、拭き取っても、書き込まれるメッセージの大群に、シェラさん達はあきらめた。最初の「甘い」企画を「落書き禁止」との「固い」言葉で止めるしかなかった。

 エジプト館のスタッフを務めるタハニーさんは同僚と入れ替わるため、カイロから上海へ飛んできた。着任後まもなく、前任の館長から「館内の彫像をしっかり保護してください」と促された。「アメンホテプ4世の巨像」や「ハトホル柱」など貴重な珍品を含む館内すべての彫像は、千年前の文化財である。

 カイロから運ばれてきたこれらの展示物の大多数は、保護カバーをかけられていなかった。「わが国では、文化財に触れる行為は一種の犯罪だと思われます。共通の常識なのです」と、タハニーさんは語る。エジプト人にとっては当然のことだった。しかし、まもなく、スタッフたちは、彫像に付きっきりでガードしなければならないことがわかった。柵で彫像を囲み、2人で1つの彫像を守る。ある中国人スタッフは、「エジプト人スタッフが一番速く覚えた中国語は「ニイホオ」(こんにちは)ではなく、「不要摸」(触れないでください)だ。毎日呪文ように百回以上は繰り返している」とエジプトの常識をはずれた現状を説明する。

 チェコ館では、聖ヤン・ネポムツキーの銅像に登る参観者が出たため、ここも結局、エジプト館のように柵を設けることになった。

 バングラデシュ館のスタンプコーナーでは、黒人スタッフは無表情で、ロボットのように「並んで、並んで、並んで…」と繰り返す。

 守りきれない館

 「熱情」だけでは説明できない事態も多く発生している。フランス館のスタッフは、「最初の数日、グリーン通路から車椅子で入館した参観者が、館内に入った途端、次から次へと立ち上がって歩き出したのを目撃した時は、自分の目を疑った」と話している。

 障害者と装ってしまえば、20分以内で入館できるほか、もう1人の付き添いも連れ込むことができる。規則破りは底をつかない。

 「ある日、1人の筋骨たくましい中年男性が車椅子に座って、自分の腕を痛そうに握っていた。そんな彼は、小児麻痺患者と自称していた」と、サウジアラビア館で働くボランティアが語った。また、10歳近くの子供をベビーカーに座り込ませ、グリーン通路を通ろうとする親も後を絶たないという。

 参観者の手だては、少しずつ対策を立てる各国のパビリオンを凌いでいる。シルバーカードや障害者手帳、ベビーカーなどを駆使し、一家全員が通過できるようにうまく割り当てる。不正が見破られても、なぜか逆切れされるとスタッフは嘆く。「彼らは恥ずかしがる様子もなく、かえって私たちを罵り、融通が効かないと非難する」

 混雑で騒がしい万博会場では、許されぬ「持ち帰り」も多発していた。

 タイ館の最後のパフォーマンスは3D映画の上映である。10分間の新奇なる体験に、多くの観客は絶叫し、会場全体は興奮に包まれる。その感動を家に持ち帰りたいためか、彼らは混乱の中、3Dメガネをこっそり持ち帰っていた。

 ナレーションを担当する者は毎回、映画の上映を終えた後、「家でこのメガネをかけてテレビを見ても、3D効果は得られません。メガネの数は減る一方です。どうか持ち帰らないでください」と、観客に懇願する。しかし、情況は改善されなかった。「館内の3Dメガネは、毎日5~7%減少している。1回上映する度に、およそ10個のメガネがなくなる。それでも我々は1日、50数回上映しなければならない」と、チェコ館の館長は不満をこぼした。

 中国鉄道館の200座席余りある3D映画館では、メガネが持ち帰られたため、100座席余りの客にしか映画を鑑賞することができなくなってしまった。

 メガネより小さいものはなおさら紛失する。ボヘミア館では、細長い廊下の壁の液晶テレビに取り付ける8Gディスクがすべて抜かれてしまったため、主催者はディスクを離れた場所に設置し、USBケーブルでテレビにつなぐ手段をとらざるをえなかったという。

 さらに挑戦的な人もいた。6月27日午後、ボヘミア館を訪れた2人の参観者が密封されたガラスケースから宝石がちりばめられたネックレスを盗み出すことに成功したのだ。どのようにガラスケースから取り出したのかは不明だが、幸いなことに、盗みに気づいた別の参観者が、主催者に通報したことでネックレスの盗難を免れた。

 (つづく)

(日本語ウェブ翻訳編集チーム)


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