THE EPOCH TIMES

英国バイリンガル子育て奮闘記(55) 褒め合いっこ(1996年頃)

2010年10月04日 07時00分
 【大紀元日本10月4日】子供を褒めちぎれない親を持ち、自信のない子になりつつある娘が、ある日、カラフルな文字がぎっしりと詰まった大きな紙を持って帰って来た。2年生の時だったと思う。

 よく見ると、娘の名前が上に書いてあり、皆からの寄せ書きのようだった。誰が見ても嬉しくなるような褒め言葉だけが並べられている。その子の「長所」だけを見て、クラスメートが口々に素晴らしい形容詞を語り合ったらしい。生徒ひとりひとりに対して行われていて、その日は娘の長所を皆が考える番だったそうだ。

 単語ごとにマジックの色を変えていて、とにかく楽しい。今思い返すと、文字が奇麗に揃っていたから、おそらく、生徒が口々に良いことを言って、それに対応して担任の先生が、いろいろな色のインクを使って、紙に書き出したのだろう。とにかく、誰が受け取ってもありがたい大きな紙だ。企画した先生に頭が下がった。

 私のような発想の出発点が違う母親を持ってしまった娘だけでなく、離婚の多いイギリスでは、家庭の事情で子供のことまで構っていられないというケースも多いだろう。そんな中で、友人が自分の良いところだけを見てくれたら、信頼感が生まれ、クラスでの居心地もよくなるに違いない。さらに、褒める側も、他人に批判の目を向けず、その人の良いところを探し出す習慣が身に付く。成人して、社会に出ても、家庭を持っても、人間関係を保っていく上で欠かすことのできない技能だ。

 昼休みは、ボランティアのお母さんが子供の行動を見守っていた。お行儀の良い子は赤いカード、ふざけたり、乱暴したり、横入りした子は黄色いカード(注意の意味だと思う)をもらっていたようだ。カードの数が増えると、昼礼の場で校長先生から名前が呼ばれるしくみだったと思う。ただ叱りつけるだけでなく、ここでも褒めることを大切にしていた。

(続く)


 著者プロフィール:

 1983年より在英。1986年に英国コーンウォール州に移り住む。1989年に一子をもうけ、日本人社会がほとんど存在しない地域で日英バイリンガルとして育てることを試みる。

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