THE EPOCH TIMES

会談後の米中関係 緊張再び高まるか

2011年01月25日 09時45分
 【大紀元日本1月25日】中国の胡錦濤主席が22日、米国訪問を終え帰国した。初の国賓としての訪米で胡主席は盛大な歓迎式典で迎えられ、ホワイトハウスでの国宴に招待され、オバマ大統領と共同声明を発表した。米議会リーダーらとも面会し、ワシントンとシカゴの経済界要人らにスピーチを行った。

 今回の会談について中国メディアも、ホワイトハウスでの歓迎式典や夕食会の様子を大々的に取り上げ、国営新華社は、「世界的にも重要で、中米外交の歴史に残る偉業」と表現した。中国外務省は胡主席の訪米を「円満」だとし、米中間の緊張関係を緩和させ、大きな成果を上げたと賞賛した。 

 一方、米国側は450億ドルの輸出の合意や中国に進出する門戸の拡大など実質的な利益を得たにもかかわらず、メディアや中国問題専門家は、今回の国事訪問は形だけに留まり、重大問題において実質的な進展がなく、今後2年間、米中関係は危険な時期に踏み込むと見ている。米タイム誌はさらに、米中関係は改善されたように見られるどころか、米国政界では北京批判の声が高まり、米中は再び緊張関係に戻ると指摘した。

 「盛大な宴会があっても緊張は高まる」

 米タイム誌は21日、ウェブサイトで「盛大な宴会があっても米中関係の緊張は高まる」との評論記事を掲載した。記事の冒頭で、「夕食会でオバマ米大統領と胡錦濤中国国家主席は両国が平和関係を維持し、共栄を遂げていくとアピールしたが、2人ともこの言葉が実現されると思っていない。事実上、米中は危険に満ちた2年間を迎えることになり、緊張の緩和より対抗が基調になる可能性が高い」と述べた。

 その理由として、記事は「民族主義と個人の利益に駆られた中国人民解放軍の軍事力増強や南シナ海での勢力拡大」、「米の経済界と政府内の保守派の対中投資に対する厳しい姿勢」、「中国政府の緊張した米中関係に対する煽動」などを挙げた。

 両国間の緊張関係は米国内にも浸透している。同記事によると、人民元相場が不当に低く抑えられているため、国内の雇用が大きな打撃を受けているという不満が国内で渦巻いている。去年9月、米議会下院は人民元を切り上げようとして、対中制裁案を可決した。「中国に見られる根強い民族主義、拡張の野心、傲慢さにアメリカ人は驚きと憤りを覚え、両国の関係はアンフェアだと思っている」とある政府幹部は話す。

 一部の米政府関係者は、米国への強硬路線をこのまま続ければ、北京は自国の利益が損なわれると分かってほしいと、両国の対抗関係の早期終息を期待している。オバマ米大統領も18日にホワイトハウスで行われた胡錦濤主席との非公式夕食会の席上、中国が北朝鮮に挑発行為をやめるよう圧力をかけなければ、アジアの駐留米軍を再配置しなければならないと警告した、などと報じられている。

 しかし、米政府幹部は、両国政権はいずれも2年後に新たな指導者が選出される交替期にあるため、今後さらなる対抗が勃発する可能性があると懸念している。中国では権力闘争が一段と激しくなり、米国に対する強硬路線が「常態化」する恐れがあると見られている。

 台湾・北朝鮮問題…、埋まらない対立の数々

 米中会談の前から、今回の会談は「儀式」に終わってしまうと識者らが見ている。現在の世界情勢から、米中は多くの問題において協力関係を築くだろうが、根本的な問題に対しては、対立が続くという。

 中国外務省がウェブサイトで掲載した記事によると、胡主席は合同記者会見およびオバマ大統領との会談で、「台湾問題は中国の核心的利益に関わり、米中関係の中で最も敏感な問題だ」と強調したという。

 しかし、米中会談後に発表された共同声明の中には、台湾関係法や核心的利益などの文言は盛り込まれていない。

 米リッチモンド大学政治学専門の王維教授は、共同声明は両国の外交関係者の同意を得てやっと発表されるもので、中国側は「台湾関係法」の文字が盛り込まれるのを何とかして回避した、とVOA放送の取材で指摘した。共同声明に、胡主席がよく口にする「核心的利益」の言葉も採用されなかったが、「米側はうっかり中国側の言葉遊びにはめられた」と分析した。

 「残念なことに、米政府は中国側の細かな言葉遣いをスルーし、平和的発展など中国側特有の表現をそのまま表記した。中国では平和的発展は台湾を平和的に統一することの前提とされている」

 台湾への武器輸出問題について、台湾政治大学国際関係研究センターの研究員・金栄勇博士は、中国側は台湾への武器輸出が米中軍事交流の最大の障害だと見ており、米国はこの問題において一歩も引かない構えを見せているため、「中国側の対米圧力はさらに高まる」とみている。

 一方、朝鮮問題において、先月オバマ大統領は電話で、中国が北朝鮮に挑発行為をやめるよう圧力をかけなければ、アジアの駐留米軍を再配置しなければならないと警告し、今回の私的晩餐会でもこれを繰り返し主張したことから、「南北が半島情勢を話し合うための準備が整った」とニューヨークタイムズが報じた。

 オバマ大統領との会談後、米議会要人らとも会談を行った胡主席は相次いで、人権問題や人民元切り上げ問題などについて厳しい非難を浴びせられ、米国内世論の厳しさを思い知らされる場となった。米中首脳は、両国関係は健全で、かつ改善に向かっていると全世界にアピールしたが、うねりを上げてやってきた対立の波に押しつぶされた形となった。

(翻訳編集・高遠、趙莫迦)


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