THE EPOCH TIMES

<赤龍解体記>(6) 温家宝の異説と呉邦国の持論

2011年03月21日 10時21分
 【大紀元日本3月21日】「一国二制度」というサクラがあっても、中共は党内、とりわけ公の場で異なる声を絶対許さず、すべてが全党一致で行動しなければならない。しかし、ジャスミン革命の過敏症にかかっている今、嘱目される全国人民代表大会(全人代、国会相当)で、中共ナンバー3の温家宝首相はナンバー2の呉邦国全人代委員長に相克した論を示し、注目されている。

 ■呉邦国の持説

 3月10日に開催された今年度の全人代で、呉邦国委員長は報告を行い、「われわれのあらゆる法律法規は、いずれも中国共産党の指導のもとで制定されたものであり、われわれの制定したあらゆる法律法規も、いずれも中共の指導と中共の執政地位を強化し、中共が人民を指導し国家を治めるためのものでなければならない」と述べた。

 呉邦国は、これを全人代の数十年間で立法におけるもっとも重要な経験と位置付けているが、彼は中共独裁の根底まで晒け出したと言われている。

 北アフリカと中東のジャスミン革命の影響を受けて、中国のジャスミン革命の火種もあちらこちらで閃き、中共の政局は新たな不確定要素が注入され、危機はより一層高まっている。そこで、自由民主や一党独裁打倒という国民の訴えに対し、呉邦国は中共を代表し全人代で明確な態度を表明したのである。

 呉邦国は同大会の報告で、中国は「多党が交替で執政することを行わない、指導思想の多元化を施さない、三権分立と二院制を実施しない、連邦制をしない、私有化を行わない」と明言し、そしてこれらは中共政治局の審査を受けて通ったものと強調する。

 ■温家宝の異説

 呉邦国は江沢民の上海組のメンバーと見られるが、上海組の色彩がうすく言行も慎んで行うので、これまで慎重派または中間派とも見られていた。しかし、今回の態度表明は、従来の曖昧さを一掃し一党独裁の現状を必死に守る保守派へと変身しているのである。

 呉邦国の報告について、中共中央政治局常務委員9人の中で、賈慶林・中国政治協商会議主席、イデオロギー担当の李長春、李克強筆頭副総理、周永康法政委員会書記はこぞって「すべてに賛成する」と態度表明した。これに対し、温家宝と賀国強中共紀律検査委員会書記は、一切言及していない。

 温家宝は、3月14日の全人代の閉幕式での記者会見で、ふたたび政治改革を呼びかけた。彼は、世界には永遠に変わらないものはなく、止むことなく続けて改革を行うことによってこそ国が生気を保つことができる。そして、政治改革は経済改革の保障であり、政治改革を行わなければ経済改革の成功はあり得ないし、すでに得た成果も失われる危険があると指摘する。

 しかも、温家宝は「中共の最大の危機は腐敗であり、腐敗の土壌を取り除くために制度と体制を改革すべきである」、「国の命は人心にある」とも主張する。

 これらの言論は、政府報告を読むのではなく記者会見であるだけに、己の意志をある程度自由に述べることができるものと思われる。

 しかし、ジャスミン革命に脅かされ、「政治改革」がもはや禁句とされている今、温家宝はあえて中共統制の「永遠論」を否定し、政治改革を唱えるのは、異例と言わなくとも、党内闘争の注目すべき新しい動向と言えよう。
 
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 むろん、温家宝の異論には何の新しい要素もないことから、従来の政治ショーでしかなく、呉邦国と二人羽織を演じているのかもしれないとの指摘もある。

 温家宝は、確かに有言不実行という多々の前歴があり、今という非常時に中共の延命を図るために「中共党内の異分子」を扮する恐れは否めない。

 それにもかかわらず、温家宝はこういった公務の中で私心を隠していないとも断言できまい。彼の数々の異論を含めすべてが流動的であり、すべてが未来への伏線であり、今後中国情勢の深刻化につれ、それらはさまざまなバリエーションを演出させる可能性が十分あるのである。

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