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マシンが人間に打ち勝った時 我々は喜ぶべきなのか

文:フランク謝田

 【大紀元日本3月12日】今日、私たちは激変する世界の中で生きている。ここ数十年、デジタル技術は想像を超えるほどの速いスピードで発展し、マシンが人間の脳に勝つ日がやってきた。アメリカの有名なクイズ番組「ジェパディ!(Jeopardy)」で、IBMのスーパーコンピューター・ワトソン(Watson)が人間のライバルに勝ち、当番組史上最高の点数で優勝を獲得した。

 ワトソンはIBMが2年を費やして開発したスーパーコンピューターで、人間の言葉を聞き、意味を分析し理解することができる。たとえインターネットに繋がっていなくても、迅速に機体の内部に貯蔵されている大量のデータから適切なデータを検索し、その情報量は数億冊の図書に相当するという。

 ワトソンと対戦したのは、当番組で最高の成績を保持するブラッド・ルター氏(Brad Rutter)と、連続74回の優勝を果たしたケン・ジェニングス氏(Ken Jennings)。2人は知識や能力、経験において、当番組での最高レベルの成績を残した。

 試合は3日間に渡って行われた。最強の人間と対戦したコンピューターのワトソンは、きわめて速いスピードで歴史、文学、科学に関するクイズの答えを出し、圧倒的な成績で優位に立った。最終的に、ワトソンは当番組の2人のスーパーチャンピオンを打ち破り、100万ドル(約8280万円)の賞金を勝ち取った。

 IBMの挑戦は、マシンが人類の言葉を理解しづらいといった課題の解決に向けて、重要な1歩を踏み出した。しかし、この1歩が、福なのか、災いなのか、我々は真剣に考えていなかったかもしれない。IBMはワトソンの技術を医療や消費者のショッピング向けシステムに導入したいと表明したが、技術が有用に使われず、殺戮や軍事など破壊的に使われやすいことが過去の事例から明らかだろう。

 かつてアメリカは、ある戦闘用のロボットを開発していたことがあるという。そのロボットの威力は強大で、一日24時間、敵を殺しつづけることができる。しかし、万が一ロボット内部のプログラムに問題が起きた場合は、逆に銃口を味方に向けて発射するようになり、その威力は甚大であるという。そのため、この種のロボットの普及は控えているという。

 ロボットと人間の最大の違いは道徳理念にある。ロボットには、人間のような道徳理念がない。たとえコンピューターを「道徳を重んじるように」設計したとしても、道徳理念が一旦形成されると容易には変えない人間に比べ、ロボットは一つの命令、一つの数字によって変えることができ、ハッカーによるプログラムの改ざんなどで、善悪が逆さになってしまう。そうなれば、コンピューターは善意を悪意に、嘘を真理に、悪事を善行にしてしまうだろう。

 コンピューターのワトソンと対戦したジェニングス氏は自分の失敗を見抜いた時、ディスプレイの上に、「私は全人類を代表して、新しいコンピューターの覇者を歓迎する」と書き込んだ。しかし、この新しい「覇者」は人類に対して善であるか、悪であるかは、誰が知っているだろうか。

 (11/03/12 07:00)  





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コンピューター  ワトソン(Watson)  ジェパディ(Jeopardy)  


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