【漢方の世界】 五行の相生相克理論―夫婦喧嘩は泣くまでやるべし?

【大紀元日本11月4日】韓流映画やドラマの中で、葬式の場面をご覧になったことがあるだろうか。遺族が葬式の際、号泣するのである。

これは中国や朝鮮に伝わる習慣だという。場合によっては、「泣き女」と呼ばれるプロを雇うことさえある。この由来や理由については諸説あるが、これを漢方の観点から読み解いてみよう。

生・老・病・死は、誰もが避けて通れない。しかし、最後の最後になって、心から納得してこの世を去る人はどれほどいるだろうか。ましてや残された遺族の無念は想像に難くない。時にはその無念さは怒りへと変わる。怒り心頭であっても、明日からまた生きて行かねばならない。ならば、どうするか。一介の庶民は、どのようにして怒りを発散すればよいのか。

こんな仮説を立ててみよう。この親族の死に対する怒りをおさめる方法として取られたのが「号泣」という手段だった。思う存分泣き晴らすことで、心中の怒りを解決する。これが庶民にとっての智恵だったのかもしれない。これはあくまで仮説だが、これこそ、漢方の「五行相生相克」理論と見事なまでに合致する。

五行の理論によれば、万物はみな五行から成る。我々の体も例外ではない。例えば、

これらの五行は相生相克、すなわち互いに生み出し合い、互いに制し合う関係にある。

木(肝)は火(心)を生む:木を燃やすと火が生まれるから

火(心)は土(脾)を生む:火からは灰が生まれるから(灰は土に返る)

土(脾)は金(肺)を生む:土から金が掘り出されるから

金(肺)は水(腎)を生む:金を熱し溶かすと水が生まれるから

水(腎)は木(肝)を生む:水は木を滋養し成長させるから

木(肝)は土(脾)を制す

土(脾)は水(腎)を制す

水(腎)は火(心)を制す

火(心)は金(肺)を制す

金(肺)は木(肝)を制す

相生相克の関係から見れば、怒り(木)を制するのは哭(金)である。

昨今、よく「体の健康は心の健康から」「ストレスは万病の元」などを耳にするが、漢方では数千年も前から、心と体の健康の関係に気づいていた。その理論は、実に細やかで複雑だ。

不思議で奥深い漢方の世界をたどる番組は、これからもまだまだ続きます。どうぞお楽しみに。

詳しくは新唐人テレビ局の『漢方の世界』でご覧下さい。

(翻訳・河合)