THE EPOCH TIMES

英国バイリンガル子育て奮闘記(86)日本語の試験(上)(2004年)

2011年05月10日 07時00分
 【大紀元日本5月10日】娘の学校ではフランス語に漬け込むバイリンガルコースが導入されたが、娘はこのコースの履修を拒絶し、夫も中途半端な教育で終わってしまうことを心配して履修を反対したため、特殊な環境でのフランス語習得を見逃すしかなかった。

 バイリンガルコースの履修者たちは、フランス語を通していろいろな教科を学ぶので、フランス語に接する時間が通常よりはるかに多い。中学卒業資格にあたるGCSE試験を1年早く受けさせ、全員にA+を獲得させるのが、学校側の狙いだった。

 それなら、娘も日本語で便乗させてもらおうと、学校側にもちかけた。GCSEの外国語試験は、筆記と聞き取りの二本立ての試験と、筆記試験、聞き取り、会話の三本立ての試験の二通りあった。小さい頃から日本語だけで話していた娘にとっては、会話の試験が入ったタイプの方がラクに違いない。しかし、外国語の会話の試験は内部審査で、先生が採点する。英国南西端の田舎で、日本語の会話の試験を査定できるスタッフは学校にはいない。母親と会話して100点つけるわけにもいかない。というわけで、筆記試験とテープによる聞き取り試験の二部門の試験を受けることとなった。つまり、筆記試験の比率が三本立ての場合よりも高くなる。

 筆記試験には、作文などが入り、やはり座って勉強する必要があった。小学校の2年生まで、嫌々ながら文部省の通信学習を通して、原稿用紙などに書く機会はあったので、思い出させる意味で、升目に書き込む練習をしてもらった。また、途中で挫折してしまったが、まだ残っていた公文式の国語のプリントを定期的にこなしてもらうようにした。丸の中に「て、に、を、は」をただひたすら埋めていく。このお陰で、娘が日本語の文型がつかめるようになっただけでなく、採点する側の私自身の日本語も、英語の影響を受けることなく、新たに定着するようになったと思う。

 横書きの国で縦書きの原稿用紙の入った試験を受けることにはかなりの無理がある。問題用紙は左側が閉じられ、シートの右側を開くように設定されている。当然、左の上の端から問題1が始まる。しかし、原稿用紙のページに入ると、いきなり、右の上の端から、縦書きをすることになる。ヨーロッパの言語の試験様式に、日本語を無理矢理組み入れたという感じ。

 さらに、単語のテストなどは、絵がすべて洋式。お風呂といっても、スカンジナビアの樹木に囲まれた露天の風景だったりする。ヨーロッパの風景のイラストを見ながら、日本語を選んだり、日本語の文を作ったりする。こうして、二世、三世の日本語は少しずつ微妙に変わっていくようだ。一世の私もかなり日本の感覚から、ずれてしまっているが…。

(続く)

著者プロフィール:

1983年より在英。1986年に英国コーンウォール州に移り住む。1989年に一子をもうけ、日本人社会がほとんど存在しない地域で日英バイリンガルとして育てることを試みる。
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