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漢詩は幼いうちから

 【大紀元日本6月14日】最近、5歳になる息子を、ある中国語教室に通わせ始めた。在日中国人たちがボランティアで運営する教室なので、費用は安くとても良心的だ。

 クラスには中国人の両親を持つ子どもが多いため、授業は初めからかなりのハイレベル。息子がついていけるかと少し心配しながら保護者としていつもクラスを見学していたところ、みるみるうちに私が中国語の魅力に引き込まれてしまった。

 なかでも私が気に入ったのは漢詩の授業。先生が黒板に書いた漢詩を、子どもたちが中国語で繰り返し音読するのだ。漢字と音とリズムが織りなす深淵な哲学が、読むたびに私の心に響いてくる。この感覚は、日本語に翻訳された文章を読んだ時とは明らかに違う。

 中国では昔から、子どもが幼少のうちから『論語』や唐詩などを暗唱させていたという。当時の学校は「書院」などと呼ばれ、入門した子どもたちは古書を書き写し、声に出して読んだ。教師は漢字の意味は教えず、とにかく繰り返し読ませ、書かせるのだ。

 この方法は一見、合理的でないようにも見える。なぜなら、大人にとっても難解な書の内容を、子どもたちが理解できるとは思えないからだ。しかし、砂漠に慈雨がしみこむように、子どもたちはいつの間にかそれを理解し、何千という漢字を覚えていったという。

 中国語教室で子どもたちが音読する元気な声を聞きながら、私は思った。

 幅広い意味を内包する漢字と、そこに語られる智慧は、理屈ではなく、ひたすら繰り返し読むことによって子どもたちの潜在意識に刷り込まれ、彼らの人生の基盤となっていく。

 今は理解できなくても、彼らが将来いろいろな経験を積んだ時にふと思い出し、聖賢の智慧や大詩人の豊かな情操表現が、きっと彼らの役に立つのだろう。

 教室の生徒たちは、まだ4~5歳のやんちゃ盛り。しかし、聖人が語る詩の魂は、しっかりと彼らの心に刻みこまれている。

 
(文・田中)


 (11/06/14 07:00)  





■キーワード
漢詩  子ども  教育  中国語  


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