THE EPOCH TIMES

欧州歴訪の温家宝首相 金銭外交かざすも「人権の声」消せず

2011年07月01日 09時45分
 【大紀元日本7月1日】6月24日から28日まで、ハンガリー、英国、ドイツの欧州3カ国を歴訪し、恒例の「金銭外交」を行った中国の温家宝首相。ところが、英独両国の首相から中国の人権問題を取り上げられた際、「(中国は)外国の指図を受けない」と厳しい言葉を返した。28日、ドイツのベルリンで行われた共同記者会見で、メルケル首相が中国の人権問題に言及したとき、温首相は突然「(通訳の)イヤホンの調子が悪い」と訴えるなどして、記者会見が一時中断されるハプニングが起きた。

 経済関係の議題が中心である今回の欧州訪問において、温首相は引き続き欧州の国債を購入し、欧州経済の安定に協力することを表明した。

 また同行した中国代表団は、欧州において巨額の「仕入れ」を行った模様。ドイツでは「中国代表団は約106億ユーロ相当の貿易契約を結んだ」と報じられたほか、「ダイムラーが中国で拡大投資」「中国人が88機のエアバスA320を購入」「中国はユーロ圏各国の経済危機脱出を支援」などのタイトルが、ドイツの各メディアに並んだ。

 一方、共産党独裁政権下の東ドイツで生まれ育ち、これまでにも中国の人権問題を厳しく批判してきたメルケル首相は、温首相との共同記者会見で再度この問題に触れている。

 今回の欧州訪問の直前である22日に著名芸術家の艾未未氏が、また歴訪中の26日に人権活動家の胡佳氏が、中国当局による拘束から解放されて自宅へ戻った。当局の監視下にある2人が完全に自由の身になったとは言えないが、メルケル首相は、このことについて歓迎の意を表しながら、この種の案件を一層オープンにすべきだと述べるとともに、中国国内における外国メディアへの取材規制を緩和するよう求めた。

 メルケル首相が、このような中国の人権問題に言及した時、ハプニングが起きた。

 温首相は突然、同時通訳のイヤホンが聞こえないとして、しきりに首を振りながら、自分でイヤホンを外してしまった。約30秒の中断後、温首相が再びイヤホンを装着してから、メルケル首相は発言を続けたが、すぐにまた温首相がイヤホンを外して「調整」し始めた。

 二度にわたって話を中断させられたメルケル首相は、傍らで見守りながら微かなため息をもらし、「誰か別のイヤホンに取り替えなさい」と命じた。結局、ドイツ政府報道官から渡されたヘッドフォン型イヤホンを上下逆さまに装着した温首相は、無表情のまま、メルケル首相の発言を最後まで聞き終えた。

 その後で温首相は、中国政府は欧州諸国からの指図を受けないと反論し、「欧州は中国の主権および中国人民の自由の選択を尊重すべきだ」などと述べた。

 温首相のイヤホンが実際に不調を起こしたのか、人権問題への言及を避けたい温首相のジェスチャーだったのかは不明。メルケル首相の話題が人権問題から両国関係に移った後は、イヤホンや音声の「不調」が起きることはなかった。

 ドイツ国営放送局ドイチェ・ヴェレは、今回の中国首相の訪問前に世論調査を行っている。それによると、多くの回答者が「中独両国にとって経済・貿易上の協力関係は重要だが、中国に人権問題の改善も求めるべきだ」と答えた。

 今回の温家宝首相の訪問中、ドイツでは、アムネスティ、チベット支援団体、法輪功学習者のグループなどが、人権を迫害する中国当局に対して抗議活動を行った。 

 これに先立つ温首相の英国訪問時、キャメロン英首相も中国の人権問題に言及したが、温首相はドイツでの記者会見と同様の反論を述べている。

6月28日、中独両国首相の共同記者会見で、立ち上がったドイツ人記者が「金色の招き猫」を温首相にプレゼントしようとした。同記者は「経済の扉を開き、数十億ユーロのビジネス契約があれば、人権問題なんかどうでもいいでしょう」と皮肉な言葉を述べた((Photo by Sean Gallup/Getty Images)

(記者・余平、翻訳編集・叶子)

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