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ムーディーズ、61社中国企業に警告 米政府は中国に監査法人の共同監督を要請

 【大紀元日本7月18日】米国格付け大手のムーディーズは11日、企業統治の弱さ、リスクの高い不透明な事業モデル、急成長の事業戦略、収益及びキャッシュフローの質、監査人及び財務諸表の質の悪さの5つの分野から総合的に分析した結果、格付け対象の61社の中国企業に対して、赤い旗(警告信号、マックス20本の旗)を付け、投資家にこれらの企業の会計リスク及び企業統治のリスクに注意すべきだとの調査リポートを発表した。

 61社の内、香港株式市場に上場している4社の旗の数が最も多かった。セメントメーカーの「中国西部水泥」は12本の旗で最も多い。西部水泥の会長とその娘が同社の44%の株式を所有していることや監査法人が2度も交代したことが原因だという。

 石炭加工企業の「永暉焦煤」は11本、テナルド石などの鉱石採掘企業の「中国旭光高新材料集団」と「恒鼎事業」はそれぞれ10本と9本を付けられた。ムーディーズはこれらの石炭または鉱石採掘関連企業の資産の規模、価値及び所有権について評価するのが難しいと指摘した。

 ムーディーズは、従来の評価方法は変わっていないとし、今回赤い旗を付ける評価方法について「投資家の間でこれらの企業の企業統治に対する懸念が広がっている中、われわれは格付けプロセスの透明度を高めることに取り込もうと考えている」と述べ、評価方法の透明度提供の一環だと表明した。この61社のうち49社について、ムーディーズは「投機的」と評価した。さらに、ムーディーズは今回の評価により、これまで中国企業を格付けする時に直面する「(企業設立してからの)運営する時間が短いこと、同時に進出している業界領域が多いため比較できる企業が限られていること、極めて集中する家族所有権の(経営)構造」などの問題が再び浮き彫りになった、と指摘した。

 一方、米国株式市場に上場している中国企業の粉飾疑惑や会計不正などの問題が相次いで発覚したため、米国上場企業会計監視委員会(PCAOB)と米証券取引委員会(SEC)の代表団は7月11日に北京に到着し、中国の財政部及び証券取引監督管理委員会(証監会)の関係者との間で、中国に本拠を置く監査法人を監督する権利を取得するよう協議した。

 監査法人とは、公認会計士が集まり設立する法人で、企業の会計監査人となり、企業が作成した財務諸表や計算書類を関連の法律・法令に照らして正しく作成されているかどうかを監査する。

 PCAOBはエンロンなどの粉飾決算事件において監査法人が会計不正に深くかかわったことで、2002年に制定された「企業改革法」に基づいて設立された米国株式市場に上場する企業の会計監査を行う監査法人を監督する機関だ。米株式市場に上場する中国企業は、PCAOBに登録している監査法人による財務諸表の審査を受けなければならない。

 しかし、上場している中国企業の中で中国国内に本拠を置く監査法人を利用する場合、PCAOBはその監査法人に対して監督・審査することができない。中国政府当局は主権問題などの理由でPCAOBがそれらの監査法人を審査することを認めていない。米国側は2007年以来、中国当局に国内の監査法人に対する共同監査を求めてきたが、現在に至っても大きな進展が得られていない。

 今年3月以来、米国株式市場に上場している中国企業の内、会計関係者の辞職や粉飾疑惑などの問題を暴かれた企業は少なくとも20社に達している。粉飾疑惑問題が相次いだことで、企業の株価が急落するなど、株式市場に大きな混乱を引き起こした。米SECは投資家に対して、中国企業の潜在的投資リスクについて警告を発しており、また一部の証券会社では投資者を保護する目的で、中国企業の株式を購入する投資家に対して、同時に多くの銘柄を購入することを制限、あるいは禁止するなどの措置を採った。

 米経済金融情報大手のダウ・ジョーンズニュースによると、米国証券取引委員会から株式の取引禁止としてリストアップされた米国株式市場に上場している中国企業はすでに130社余に上った。この中の多くは過去1年において、ナスダック市場に上場した中国の中小企業だという。

 証監会研究センターの王欧・副主任は6月末、海外で相次いだ中国企業の粉飾疑惑問題について、「証監会は今後米国の証券取引監督機関との交流を続け、中国企業の会計不正問題をリサーチする」と発言し、監査法人の共同監督については言及しなかった。今回双方の協議について、中国側はこれまでの姿勢を貫き、主権及び国家機密の漏えいなどの理由で、直ちに米国側の要請に応じることはなく、両国が監査法人への共同監督に関する合意に至ることはないとの見方が強い。

(翻訳編集・張哲)


 (11/07/18 06:43)  





■キーワード
会計不正  企業統治  監査法人  投資家  株式市場  上場  格付け  


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