THE EPOCH TIMES

≪医山夜話≫(34-1)拒食症

2011年07月17日 07時00分
 【大紀元日本7月17日】拒食症には何種類もの臨床例があります。その中の一つに、患者の精神的な原因により、食べたものを故意に全部吐き出すという病状があります。これにより患者の胃腸機能がだんだんと乱れ、消化不良が起こり、体に各種の病変が起こります。複数の病状がころころ変わる患者を見て、医者はとても困惑しますが、本当の病因がまだ深いところに隠れていることは分かりません。患者はある種の観念にしっかりと制御され、長期間抜け出すことができません。拒食症の治療には普通の療法は効きませんが、患者の強い自制力または隔離治療が必要です。臨床で、先に諦めるのは往々にして患者ではなく医者の方なのです。

 ハイジーは大手企業の役員でした。彼女は部下が作成した書類を修正し、すべては彼女の支配下に置かれています。彼女は企業管理についてとても習熟していましたが、自身の生活や飲食習慣をどうやって正すかについて、少しも分かっていませんでした。

 初めて私の診療所に来た時、ハイジーは禁煙したいと言っていました。私の家庭、素性、職歴などを聞き出すと、彼女はたばこを吸わなくなりました。

 しばらくすると、彼女はアルコール中毒の患者として診療所を訪れました。私の社会保険番号と納税情況まで調査したようでした。もちろん、私は何も知らずに、ただ患者に対して心を尽くし、努力しました。

 ある日のこと、ハイジーは「どんな人の経歴でも調べることができるわ」と私に話しました。私はただ静かに微笑んで、「そんなに多くの人の事を知って、疲れませんか」と聞き返しました。

 お酒は止めましたが、彼女の心の底には、まだ他人に言えない苦しみがあるようです。ただどうやってそれを表すかを分かっておらず、その苦しみは彼女の体と関係がある、と私は察知しました。しかし、うわべから見ると、彼女の体型はちょうど良く、モダンな服もよく似合うし、どこへ行っても注目され、尊敬される人物なのです。

 ある日、彼女は自分のカルテを持ってきました。

 「この病気で長期にわたって苦しめられ、また誰を責めることもできず、すべては私自身が悪いのです。私はいくつものマスクをかぶっている人間で、昼と夜、私は完全に別の世界に暮らしています。35年もの間苦しめられ、思いつく治療法はすべて試みました。私は多くの名医、教授に診てもらっては、最後に、上手く芝居をして彼らを騙すこともできました。最低限の治療をして、私は彼らの方法をマスターして自分で治療し、効果がなかったらまた医者を変え、新しい治療法に変えます。しかし、この病気は頑固すぎて、根治することができません」

 「あなたの診療所に通い始めてから、私はまずあなたが私の主治医にふさわしくないという理由を一生懸命探しました。そうすることで、私は治療の道を探さないのではなく、ただレベルの高い医者に出会っていないのだと自分に言い訳ができるからです。もちろん、私の主治医になるには、その医者の人柄も私の要求に達していないといけません」

 「正直にいうと、あなたがいつ米国移民局に行ったのかも、私は調べたら分かります。たばことお酒を止めると言ってここに来たのは、ただあなたを考査するためです……。 しかしなぜか、あなたの真面目で穏やかな態度に惹かれて、私は知らず知らずのうちにここに来たくなっていました」

 人間の心理の複雑さは知っていましたが、こんなに婉曲な手段で医者を考査しようとする患者に出会ったのは初めてです。私はただ静かに彼女を見つめて、何も話しませんでした。そして、彼女は静かに話し始めました。

 (翻訳編集・陳櫻華)


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