THE EPOCH TIMES

<赤龍解体記>(29)局長殺しもブームか

2011年08月29日 07時18分
 【大紀元日本8月29日】不公平な政策により、中国社会における格差が次第に拡大しており、庶民と支配層との矛盾も日増しに深刻化し、今はほぼ水と火のように相容れない状況に達している。今年に入ってから、この傾向はより一層顕著になり、各地で行われた国民のデモ抗議や暴動のほとんどが、その原因によるものである。

 官民対立の新しい展開として、局長を殺すのが流行っているらしい。

 関係情報によると、山東省沾化県警察副局長になってわずか1カ月の張沢国氏が8月24日夜、自宅の近くにある人工湖の湖畔で男に刃物で殺されたという。当局によると、殺害の動機は不明である。

 張沢国副局長は42歳で、今年7月25日に警察副局長に抜擢され、治安を担当していた。彼は派出所から徐々に登ってきたが、いつも権力を握って横暴に市民に対処していたという。

 この事件を報道した香港の鳳凰TVが、他の4件の局長暗殺事件もリンクして報道した。その趣旨は、この新たな警察局長暗殺事件により、中国における官民対立が極めて危険な情勢に至ったということを示すものとされている。

 今年5月2日、広西省賀洲市八歩句地方税務局賀街分局長・周氏一族4人が、家で殺害され、今でも懸案のままである。昨年、遼寧省興城市都市建設局副局長・劉賀鑫氏がオフィスで男女2人に刃物で殺された。拘束された容疑者の話によると、人々の恨みが煮えたぎっている彼を殺してやらないと、庶民たちの憤りがおさまらないという。他の事件も、ほぼ同じ性質である。

 専門家によると、こういった局長殺し事件はほかにも多数あるが、さまざまな原因により報道されなかっただけであり、報道されたものは実は氷山の一角に過ぎない。

 こういった局長殺し事件は、少なくとも4つの特徴がある。第一、加害者はほとんど一般市民である。第二、殺害された場所は自宅か事務室である。第三、殺害された局長はいずれも権力が大きく、多大な利益にかかわる重要な局である。第四、その事件のほとんどは未解決のままである。つまり、一般市民が事件の調査に協力せずに、密かに加害者を守っているからだということだ。

 「重慶晩報」4月12日の報道によると、1999年11月10日夜、甘粛省国税局長ら4人が、いずれも自宅で同じ犯人に5発の銃弾で殺された。犯人は速やかに逃走したが、11年後の今も懸案のままである。しかし、中国のネットユーザーたちは、この事件を国民が局長殺しの殺し屋を愛しつつ守ってあげる典型的例だと揶揄している。

 体制に対する国民の不満と恨みが高まっていることは、深刻な社会的・政治的な危機をもたらすことになると思われる。

 中国の著名な社会学者・于建鑅氏は、官僚を恨み、金持ちを恨み、警察を恨むのは、今の中国の最も基本的な社会心理であり、中国ではそのうちきっと、非常に大規模な社会的激動が起きるに違いないと指摘している。

 「2010年中国危機管理報告書」によると、昨年起きた、影響の最も大きかった社会的事件は72件あり、5日で1件の割合で起きている。これらの事件は中国の29の省に広がり、中でも河南省、北京市、湖北省、広東省などが最も多発する地区となっている。

 これらの社会的事件が起きた最大の原因は、不公平な司法によるものであり、これは全体の18.1%を占めている。

 中国国家行政学院公共行政教研室主任・竹立家氏によると、2010年の民衆抗議事件は少なくとも18万件であったという。

 官民の対立がより一層悪化している現状に備え、中国政府は安定維持のための費用をどんどん増額する以外に打つ手がない。つまり、高額の安定維持費用をもって、社会の安定を維持し、国民の抗議を鎮圧しようとするのである。そのため、昨年度の安定維持費用は、15.6%増え、予算より346億人民元多く支出し、5490億元に膨れ上がっており、国防費をも上回った。

 しかし、局長殺し事件で示唆されたように、官民対立が新しい情勢に入っている目下、一党独裁を維持するために、金銭や暴力だけに頼ってはもはや奏功しなくなったのである。

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