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(Sektordua/Creative Commons)

佛の知恵で包容する

 【大紀元日本8月30日】昔、ある小僧が山寺で修行していた。 自分は頭がよく、学問ができ、知恵があると自負しており、賢い者との交流を好んだ。学識が浅く、思惟が混乱し、話もはっきりと伝えられない師弟たちには腹を立て、「まだ分からないのか。でくの坊だなあ」と口癖のように言っていた。師は彼を何度も叱ったが、小僧は口先では過ちを認めながらも、同じような状況に出くわすと、依然として腹を立てていた。しかし、次の出来事を通して、小僧は大きく変わった。

 ある日、小僧は山で薪をたくさん拾った。帰る途中、渓水のほとりで一休みした。彼は薪をおろして清水を飲み、顔を洗った。すると、「強」という小猿がやって来た。強はよくこちらに遊びに来ていたため、小僧とは親しい仲になっていた。 小僧は顔を拭きたかったので、薪を指して強に天秤棒に掛けたタオルを持ってくるよう指図した。

 強は薪のある場所まで走って行き、1本の薪を引っぱり出し、小僧のところに持ってきた。小僧は面白いと感じ、手まねで四角形を描きながら「タオル、タオル」と言い、強を送り出した。しかし、強はまた薪を持ってきた。 小僧が石を拾い、タオルに向かって投げると、石はちょうどタオルに当たった。彼はタオルを指しながら「見えた?あのタオルを持ってきて」と、強に言ったが、強はまた薪を持ってきた。強は得意満面で「ほら、ボクは有能でしょう」と言っているようだった。強の得意げな様子を見て、小僧は体を大きく揺らすほど笑った。

 寺に戻ると、小僧は住職にこの出来事を伝えた。住職は、「同門の師弟たちがあなたの言った道理を納得できない時は腹を立てるが、強が理解できない時は、どうして面白いと感じるのかね」と、小僧に聞いた。小僧は住職の指摘にやや驚きながら、「強は猿です。話が理解できないことは当然です。師弟たちは人間なので、私の話を聞き取れないということは、ありえないことです」と、答えた。

 住職は、「ありえないことだろうか。人々の生まれつきの悟性は異なっており、悟性が良いのは、彼の功績ではなく、悟性が悪いのも、彼の過ちではない。たとえ悟性のレベルが同じでも、身を置く後天的な環境が違っており、読み書きを学ぶ裕福な家柄に育つ者と、肉屋の家庭に生まれる者に分かれる。これは個人の功績でも、過ちでもない。たとえ環境が同じだとしても、出会える師父も異なり、自分の功績により素晴らしい和尚に出会えるわけではなく、自分の過ちで生臭坊主に出会えるわけではない。個人には大きな違いがある。一体何に基づいて『あり得ない』と言えるのかね」と、小僧に反問した。

 師の話に、小僧は頭を下げ、黙り込んだ。住職は、更に語り続けた。「天道は絶えず変化し、世も無常だ。今日、彼が自分より劣るからといって彼を見下げれば、明日彼が勝ったとき、彼はあなたを見下すことになるのではないかね」

 小僧は恥じ入り、「師父、自分の過ちが分かりました」と、師父に謝った。住職は頭を振り、「おまえの最大の過ちは、このことではない」と語った。小僧は目を大きく見開いて、「では、私の最大の過ちは何ですか」と、切実な思いで尋ねた。

 住職は微笑み、一つの理を説いた。「自分の意味を理解できなかった強には笑い、師弟には立腹する。原因は自己にある。 人間であるあなたの知恵は、サルである強より高いため、強の過ちを許すことができ、強には怒らなかった。しかし、同じ人間である師弟の智恵とは同レベルにあるため、彼らの過ちを許すことができなかった。佛が弟子たちの過ちを見て腹を立てるだろうか。佛は絶対に怒らない。佛の知恵はすべてを包容することができるからだ」

 「つまり、おまえの最大の過ちは、佛の目で世の人を観察し、佛の慈悲で世の人に同情し、佛の知恵で世の人を包容することができなかったことにあるのだ」

(翻訳編集・李頁)


 (11/08/30 07:00)  





■キーワード
  和尚  慈悲  包容  修行  


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