印刷版   

ニューヨークにある米国債電子掲示板(TIMOTHY A. CLARY/AFP/Getty Images)

中国、米国債を大量に手放す 対中為替法案への報復か

 【大紀元日本10月21日】中国は8月に、保有する米国債365億ドルを売り越し、10年来最大の減少幅を記録した。米国債の格下げでドル資産保有に不安が広がり、売却が進んだとみられる一方、一部の専門家は、中国の大量放出は、審議中だった対中為替制裁法案への報復措置だとみている。

 中国は、世界一となる3兆ドルを超える外貨準備高を、米国債などドル資産を中心に運用してきたが、アメリカの債務問題やヨーロッパの信用不安を受けて、ここにきて運用の多角化を急いでいる。それについて、米ブルッキングス研究所の中国問題専門家ケネス・リバソール博士は、中国は莫大な外貨準備高を運用するには米国債を買う以外、それほどの選択肢がないと指摘(米VOA)。また、米国債は国債流通市場の中で、流動性や安全性において依然としてその他の主要債券資産をリードしているため、中国の外貨運用の道が狭められているという。

 米国における中国経済研究の第一人者、アルバート・ケイデル博士はVOAの取材に、この1カ月のデータでは今後の傾向を断言できないと語っている。「一部の当局者は最高指導者に言っただろう。ドルが下がっているのになぜそんなに米国債を買うのか、と。そこで最高指導者も何か姿勢を示さなければならない。だが、これは当局の戦略転換とは思わない」。さらに同博士は、ドル相場が持ち直すと中国はまた米国債の購入に転じるとの見方を示した。「このデータはすでに古い。ユーロへの懸念で米ドルが値上がりしているため、北京もそれなりに調整するだろう」と博士は述べた。

 一方、インディアナ州のボール州立大学商学院の元教授で、著名な経済学者の鄭竹園氏は、中国は米国債を購入することを「米国への善意」だと見なしている、と指摘する。「そちら(米国)の国債の価値を維持しているのは我々の善意だ。それなのになぜ為替制裁法案を通そうとしているんだ。そちらが我々に友好的でなければ、我々もそちらの国債を買い続けることはしない」。鄭氏は中国が米国債を手放したのはこういった報復心理からだとみている。

 なお今回、中国のほか、香港や台湾、シンガポール等、アジアのいくつかの保有国も米国債を売り越ししている。一方、日本やイギリス、産油国は、8月に大幅に米国債を買い増ししている。

(作成・王君宜、編集・張凛音)


 (11/10/21 06:52)  





■キーワード
米国債  為替  格下げ  人民元  外貨準備高  


■関連文章
  • 専門家がみる対中為替制裁法案(11/10/19)
  • 1.1兆元の預金が消える チャイナマネー流失の幕開けか(11/10/17)
  • クリントン長官「先進諸国は連携して解決すべき」 人民元為替操作をめぐって(11/10/17)
  • 中国が遊説攻勢 米議会の中国貨幣法案阻止のため(11/10/15)
  • 米上院、人民元切り上げを求める法案を可決(11/10/13)
  • 人民元上昇が加速 国際化で影響力拡大が狙いか(11/10/03)
  • フィッチ、中国の信用格付け引き下げを示唆 人民日報「陰謀に警戒せよ」(11/09/21)
  • 8月CPI、6.2%上昇 インフレ長期化に変化なし(11/09/15)
  • 『赤い資本主義:脆弱な中国金融基盤』 中国経済神話の本質暴く新書=WSJ紙(11/09/09)
  • 中国、国債格下げで米を批判するも3カ月連続で買い増し(11/08/22)
  • 人民元の対ドル変動幅の拡大 「機は熟した」=中国国内専門紙(11/08/19)
  • 米国債の格下げは中国の「苦痛」(11/08/13)
  • 7月CPI上昇率さらに更新 止まらない中国のインフレ(11/08/11)
  • 【フォトニュース】米国デフォルト回避 両党は債務上限引き上げに合意(11/08/02)
  • IMF年次審査報告書「インフレ対策でさらなる人民元切り上げを」 中国当局は反発(11/08/01)