【生活に活きる植物】 35・甘野老(アマドコロ)

【大紀元日本5月27日】アマドコロはヨーロッパからアジアまで広く分布し、日本全土の山地や丘陵地に生えるユリ科多年草。観賞用に栽培されている白い斑入りの葉の園芸品種も趣があります。5月頃咲く筒状の花は緑白色で鈴がぶら下がっているようにつき、果実は球形で秋に黒く熟します。根茎は横に延び、先端から少し斜めに出た茎は6稜で角張っています。根茎を水洗後、ひげ根を除き乾燥したものがイズイまたは玉竹(ぎょくちく)と言われる生薬です。

【学名】Polygonatum odoratum
【別名】ヤマドロ
【成分】粘液質(マンノース)、強心配糖体(オドラタン、コンバラリン)など。

【薬用効果】玉竹は肺、胃経に働き、滋養強壮、解熱消炎、鎮咳に有効で、病後の回復、美肌にも使用されます。一日量は乾燥物9~15gを煎服します。作用は緩慢なので長期に服用する必要があり、常用すると血色が良くなり、皮膚にうるおいがでてきます。打撲傷には粉末を食酢で練り、患部に塗ります。生の根茎を焼酎につけたアマドコロ酒には、強心昇圧作用や便通を整える作用があるとされています。

【食用】若芽はてんぷらに、茹でてからお浸しに、または油で炒めて利用します。地下茎も柔らかくなるまで煮て食べると甘い味がします。

【余談】よく似た植物のナルコユリは円柱状の茎をもつので容易に区別がつきます。アマドコロとは形がヤマノイモの近似種オニドコロによく似ており、根茎が甘いことから名付けられたようです。日本産の変種にはオオアマドコロ、ヤマアマドコルがあります。茶花として、花や実も好んで使われています。

アマドコロの群生

美しいアマドコロ班入り葉

(文/写真・ハナビシソウ)