THE EPOCH TIMES

中国に62万の「烏坎村」 地方問題は「芯の腐った赤いリンゴ」

2011年12月29日 09時00分
 【大紀元日本12月29日】国際社会が注目した広東省陸豊市烏坎村の抗議デモが沈静化した矢先に、同じ陸豊市の新𩜙村でも農地の強制収用に抗議して、村民数百人による抗議デモが発生した。米ニューヨーク・タイムズ紙は、烏坎村や新𩜙村のように農民が地方政府に抑圧される村は中国全土に存在し、その数は少なくとも62万5000カ所に上ると指摘している。

 新𩜙村での抗議活動は7月からすでに始まっていた。現地政府が500ムー(1ムーは約666平米)の農地を無断に売却したと村民らは主張し、土地の返還を求めている。26日、村民数百人が役所ビル前に集まりスローガンを掲げて抗議したが、100人を超える警察官が動員され阻止された。

 新𩜙村の抗議活動は、米カーター・センターの中国プロジェクト主任・劉亜偉氏の発言を裏付けるものとなった。「烏坎事件は珍しい出来事ではない。中国全土で同様なことが起きている」。ニューヨーク・タイムズ紙は、中国の村全体の5割~6割を占める62万5000カ所に上ると推算している。

 中国の村幹部は表面上、選挙で選出される。だが実際、選挙は非常に操作されやすいことを同紙は指摘する。村には公共衛生や社会福利などの自治が要求されるが、村民から税金や費用を直接徴収することはできない。計画外の費用については全て、上級の政府機関への申請を通す必要があるという。

 こういった体制が、横領や上級幹部への賄賂などの腐敗問題を生み出した。特に土地価格の高騰は幹部らにとって財を成す絶好なチャンスとなった。「土地を売れば大金が入る。上級幹部がどうやって自分たちのポケットを膨らませたのかを見てきた下級幹部は、上級幹部を見習うようになる。そうでもしないと公平さに欠けるとさえ思うようになっている」。米ウィスコンシン大学の中国問題専門家エドワード・フリードマン教授は、こう分析している。

 烏坎事件の収拾で仲介役を果たした広東省副書記の朱明国氏も、地方幹部の腐敗を認識している。「農民に土地がなくなったら食べるものがなくなるということを幹部は考えたことがない。幹部は土地がなくても自分たちの食事に影響しないし、豚を飼わなくても上等な肉が食べられる。家で待っているだけで、持ってくる人間がいるからだ」とその腐敗ぶりを批判した。

 朱氏は26日、地方の現状は「芯の腐った赤いリンゴ」のようなものだと指摘した。多くの問題が潜んでいながら把握されず、いったん表面化した時は、「皮が破れて、とんでもない事態になる」と危機感を表した。

 また、広東省で相次いだ抗議行動について、朱氏は「民主主義、公正、権利などに対する人々の関心が高まっており、それに伴って要求も拡大している」「権利を守ろうとする意識も高まっており、その手法はますます激しさを増している。紛争は激化する傾向がある」と述べた。

 しかし、こうした発言は抗議行動への理解に止まっている。根本的な解決について、ニューヨーク・タイムズは、中国の地方行政システムや土地制度にメスを入れないと現状は変わらないと指摘。だが、このメスは「村幹部や各級の幹部が誰一人として、自分にとって有利なものではないとしていることが問題だ」と、改革実行の難しさにも言及している。

 (翻訳編集・張凛音)


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