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中国、金融緩和へ軸足転換 「行政調整は苦肉の策」

 【大紀元日本12月14日】中国当局の最新の統計数値によると、11月の中国国内のインフレ上昇状況、生産過剰圧力ともに弱まり、経済成長を維持させるため、当局は金融緩和策へ舵を切り始めた。中央銀行は、来年1年間、行政手段による調整を強化すると発表した。

 8日に国家統計局が公布した最新の統計資料によると、11月のインフレ率は先月の5.5%から4.2%まで下降し、同期の生産過剰状況も緩和されている。欧州の債務危機とアメリカ経済の行き先の不透明感が中国の経済成長に大きな影響を与えており、中国の外需依存型の経済成長モデルが厳しい試練に直面している。

 この状況を受け、政府当局は金融緩和へ軸足を転換し始めた。その最初の動きは市中銀行の預金準備率の引き下げである。国際大手信用格付会社ムーディーズの中国経済アナリスト・成旭氏は米政府系メディア・ボイスオブアメリカ(VOA)に対し、この措置はこれまでの金融引き締め政策によりもたらしたマイナスの影響を処理する余地を与えたとの認識を示した。

 成旭氏によれば、預金準備率が引き下がれば、金融機関の融資枠が拡大し、中小企業への資金の流入が可能となる。また、人民元の利子率の上昇傾向が安定に向かうことにより、人民元切り上げ圧力も緩和されることとなる。最近の人民元安はその流れに沿ったもので、輸出企業にとって朗報となっている。「金融引き締めは一段落となり、来年は緩めた通貨政策が実施される」と成旭氏は予測する。

 行政手段による調整は「苦肉の策」

 12日、異例の遅れを見せた中央経済工作会議が開かれ、来年は積極財政政策と穏健な通貨政策に軸足を置くと定めた。行政手段による調整を強化することで、経済成長を保持すると同時にインフレを抑制するとしている。これについて、中国人民銀行(中央銀行)通貨政策委員の夏斌氏は、政府による行政コントロールは実は「苦肉の策」であるとの見方を示した。

 「通貨供給量を調整すると同時に、貸出(信用貸付)規模をも調整しなければならず、社会融資の総量コントロールも実施しなければならない。これはつまり、行政手段による調整は有効に機能しておらず、信用貸付の構造的調整を補助手段として平行的に実施しなければ、穏健な通貨政策が実現できない、ということを示している」

 また、11月CPI指数の上昇は緩和したものの、食品価格は前年同期比8.8%上昇し、物価上昇への懸念は依然として強い。庶民の生活に直結する食品価格の上昇が続き、インフレ緩和の実感が薄いという。

 市場調査会社IHSグローバルインサイトの中国経済専門家アリステア・ソーントン氏は、11月のCPI指数が過小評価された可能性があるとの認識を示した。中国はインフレとの戦いはすでに勝利を収めたというのはまだ時期尚早だと話している。

 (翻訳編集・林語凡)

 (11/12/14 09:17)  





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インフレ  生産過剰  経済成長モデル  金融政策  


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