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李園作「蒙難在中原」

正統芸術への回帰

 【大紀元日本12月19日】2003年夏、中国の伝統気功・法輪功の修煉をしている世界各地の芸術家たちがワシントンに集まり、芸術創作と修煉の関係について交流を行った。

 彼らは交流を通して、人類の芸術と社会の道徳は互いに密接に関係していることに気がついた。つまり、過去の正統芸術は神が人類に伝えたものであり、善と美を尊び、人類の道徳に正しい作用を果たしていたのに対し、今日の芸術は道徳の堕落につれてしだいに変異してしまった。しかし修煉者は必ず正しい道に回帰しなければならない。

 自分たちの進むべき方向が明確になった彼らは、その後の討論を通じて、法輪功の修煉を題材にした美術展を行おうと考えた。それが「真善忍国際美術展」の始まりである。

 「真・善・忍」とは法輪功が堅持する宇宙の真理であり、修煉者は実践の中で心身ともに健康になり、昇華の中で穏やかで美しい境地を体験することになる。しかし、中共メディアのデマによって、多くの人が法輪功を誤解し、情報封鎖によって人々は厳しい迫害の事実を知る由もなかった。修煉者が逆境の中でいかに「真善忍」を守ってきたかという感動的な話などなおさらである。

 集まった芸術家たちの中には、自ら強制収容や拷問などを体験した者もおり、彼らは、自分たちの体験や見聞を絵筆によって如実に表現し、世の人々に法輪功のすばらしさといまなお続く迫害を正確に知ってもらおうと考えた。

 「真善忍国際美術展」には、他の美術展と異なる点がもう一つある。作品を共同で制作するということだ。現代の芸術観念では、芸術家は普遍的に「自我を際立たせ、自我を表現する」ことを重んじているが、ワシントンに集まった彼らは修煉を通して、「自我を捨て、無私・利他」というさらに高い境地に達しようとしている。そのため、彼らは知恵を集めて共同で作品を制作し、互いに不足を補っている。もちろん、彼らの共通の表現原則は、正統な写実技法を用いることである。神が伝えた正統な芸術表現によって真に迫り、純善純美で、光明に満ちたものを表現し、人の道徳を昇華へと導く作品を創り出すことである。

 在日華人画家 李園

 そんな芸術家の一人に、在日華人の李園氏がいる。李氏は中国山東省出身で、1993年に来日した。幼い時から画家であるおじさんに絵画の基礎と技巧を学び、時代の流れに従って現代派の手法を試みたこともあるが、法輪功の修煉が彼を古典の芸術価値へと導いた。
李園氏(撮影・丹尼爾)


 李園氏が代表作「蒙難在中原(中原の受難)」を創作した2004年当時、すでにかなり多くの法輪功学習者が迫害で命を奪われていた。彼はこの世界最大の悲劇を前にして、「信仰のために犠牲になる」というテーマを表現したいと考えるようになった。「キリスト教徒は千年あまり前に迫害を受け、数百年の時を経て、人々はやっとキリスト教を認識し、信仰を堅持する中での善と悪の対比を理解した。ところが、今日再び悲劇が起こった。私は芸術家としてどうしても声を上げねばならず、決して避けて通ってはならないと考えた。だからこそ、このような悲劇的なテーマで創作することを決めたのだ」

 舞台劇のようなこの「蒙難在中原」はある種の強烈な宗教感を漂わせており、真善忍国際美術展の中でも独自の道を切り開いている。修煉者の体を照らす光と背後の暗闇が対比をなし、光る白い布によって十字を形作っている。静かに横になっているのは、亡くなった法輪功学習者である。壮健な体に青いアザと血の跡があり、目は強権の嘘を象徴する赤い布で覆われている。手に残された引き裂かれた洗脳書が、修煉の放棄を拒んだために亡くなったことを物語っている。彼のそばに座る妻は、両手を胸の前で握りしめ、十字を形作っている。二つの十字が照り映え、絵の中で対比された明暗とあいまって、古典的精神に富むこの絵画を構成している。

 文化の根源

 李園氏は、修煉を共にする芸術家たちとの長年にわたる創作と研究を通じて、ついに正統芸術の道を探し当てた。つまり、形式上は、ルネサンスの伝統写実技法を継承し、内涵では、善、正、純、光明への賛美と、神への謳歌を明確にめざすということである。実はこれが正に伝統芸術なのである。

 彼の観察によれば、現代人も伝統からインスピレーションを得たいと考えている。しかし、往々にして、いささかの要素と表面的な特徴だけを選び出し、あるいは、伝統的な特徴を多少残しながらも、形式上現代のものを加え、現代人の好みに合わせる。文化を根本から徹底的に理解し、全面的に取り戻そうというのではない。その結果、逆に伝統を破壊してしまっている。

 そもそも、文化の根源は何か。人類の正統文化は、神伝文化、つまり、神が人に伝えたものであり、誰それが発明・創造したなどと簡単に言えるようなものではないと、李氏は考えている。

 新しさ、変化、スピードを求める現代社会において、人々は、伝統に回帰するのは極めて難しいと感じているが、彼は自らの実践を通して、そうは思わない。伝統文化に多く接しさえすれば、それをさらに深く認識できると考えている。「人は伝統に回帰することを望んでおり、人の本性は伝統を受け入れられるものである」

 李氏はさらにこう指摘する。「審美と道徳は密接に関係しており、完全に一体である。もし、美しくないものを美しいと考えるとしたら、それは道徳が相対的に低下していることを物語っている」

 ならば、いかにして正当な芸術の道に帰るか。中国古典舞踊を通して中国五千年の伝統文化の復興を目指す神韻芸術団の公演と、新唐人テレビ主催の華人のための各種グローバルコンテストをよく理解することだと李氏はいう。「彼らはすでにその道を創り出しており、後はそれに触れ、理解し、味わうことだ」

 
(翻訳編集・瀬戸)


 (11/12/19 07:00)  





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正統芸術  伝統文化  真善忍国際美術展  李園  


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