THE EPOCH TIMES

「中国イランが最大脅威」米国防戦略の転換 亜太平洋で軍事強化

2012年01月09日 08時42分
 【大紀元日本1月9日】米国のオバマ大統領とバネッタ国防長官は5日、米国の国防戦略の新計画を公表した。将来的に米軍は軍事予算を削減、欧州での軍事配置を縮小するとしながらも、中国とイランが主な脅威と定め、アジア太平洋地域での軍事配置を拡大していくとの内容を示した。 

 戦略重心をアジア太平洋地区に移す

 同国防戦略計画は、中国の脅威を再評価し、イランと並べて、中国をもっとも主要な敵、あるいは最重要の潜在的な敵と位置づけている。

 16ページにおよぶ同戦略計画は、地域での摩擦を避けるため、中国は軍事力拡大の戦略的意図を透明化すべてと記した。

 また今後10年間、米国は国防予算を4870億ドルまでに大幅削減する予定だ。これについてオバマ大統領は「戦争の情勢はすでに終わった。米国は自らの経済の力を立て直すべき」とした。しかしながら予算削減の目的は無駄な支出を抑えるためで、全面的な削減は国家の安全には不利とし、米軍は依然として世界最強の軍事力であり、その重点はアジア太平洋地域に移すと明言した。

 そのほか、同計画は新たな軍事投資の領域をも定めた。特殊作戦部隊は依然として最も重要だとされた。

 計画の公表に際して、オバマ大統領は国防省に訪れて記者会見で演説を行った。これは合衆国大統領として極めて異例となる。

 専門家らは、これは冷戦終了後、米国の最大の戦略重心の転換点だと受け止めている。

 英BBCが報じた、バネッタ国防長官に近い軍事専門家の話によると、オバマ大統領は現状の11つの空母群を一つ削減するのを反対していた。その理由は、中国当局からの脅威の可能性に応対するため、太平洋地区において米軍は十分の軍事力を保つべきだと考えているという。

 また同報道にて中国名門北京大学国際関係学院の朱鋒教授は「これは去年11月に米国が発動した『中国攻勢』の延長だ」と語っている。

 去年11月、オバマ大統領はハワイでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)とバリ島での東アジア首脳会議においても、米国未来の戦略重心をアジア太平洋地区に転換すると強調した。バネッタ国防長官が去年10月日本を訪問する際にも、太平洋地区での軍事配置を強化すると示した。

 朱鋒教授は、「この新国防戦略計画は主に、中国の飛躍や、ますます不安定化になる中国の行動に対応するため」と述べ、同計画が中国をイランと並べたことについて、米国軍部の中国への見方は非常に消極的であると指摘した。

 その一方で同教授は、「そのような状況でも、短期間においては、米中関係は実質的な悪影響を受けることがない。中国政府の反応は比較的穏便で、米国との対立を望んでいない。なぜならば、米中双方ともに新たな冷戦状況となることを避けたいからだ」と分析した。しかし、中国当局には心理的に大きな影響をもたらすと指摘した。

 米政府系ボイスオブアメリカ(VOA)は専門家の見解として、「この戦略は、中国当局に平和的な発展を促している」と報じた。

  中国政府メディアは同国防戦略計画に関心示す

 中国国営通信社の新華社は関連の時事評論で、同計画は「米国が最も選ぶべきではない項目だ」と評し、「アジア太平洋地域は平和発展と協力を探る時期にある」とし、米国は軍事力を後ろ盾に同地域の事務に介入しているとけん制、「緊張な雰囲気を拡散させ、同地区で武力への憂慮を強めさせ、不安なメッセージを発信している」と指摘した。

 一方、中国共産党の機関紙「人民日報」の海外版「環球日報」は同国防戦略計画を強く非難した。中国国防大学の研究員、海軍の高官、楊毅・少将の文章を掲載して、オバマ政権のこの国防戦略は「中国とイランをターゲットにしている」「米国はアジア太平洋地域のトラブルメーカー」と非難した。

 中国政府は現時点までに、米国の同国防戦略計画に公式な見解を出していない。

 イランが米国に警告を発する

 専門家らの見解では、米中両国が正面軍事衝突する可能性が非常に低いと認識している。一方、米国とイランの関係は最近緊張化している。イラン当局は先週警告を発した。米国はイランの核兵器開発を理由に、石油輸出禁止令を発動したり、あるいは両国が全面的な衝突を起こせば、イランは重要な石油輸送ルートであるホルムズ海峡を武力で封鎖するというのだ。

 イラン軍部は3日、米国の空母がペルシャ湾に帰還しないよう求め、米側が応じない場合軍事行動をも辞さないと警告を発した。それに対して、米国側は、米国軍艦がホルムズ海峡での通行は国際法に沿っており、航海の自由を確保する義務があると回答した。

 バネッタ国防長官によると、今回の国防予算削減の一部の詳細内容は今月中に、最終予算編成が完成するまでに決定される。

 (記者・李明希、翻訳編集・叶子)
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