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徳を欠いた男

 【大紀元日本4月3日】古代中国人は、財産、名誉、地位などは全て、前世で積んだ徳によって決められていると考えていました。自分の物だけを守ろうと思っても、徳がなければ裏目に出てしまいます。

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宋の時代、翰林院(※)の士であった李士衡(り・しこう)は、ある時、高麗に派遣された。武将の余英(よえい)が李の護衛としてついた。李は高麗での任務を完遂し、帰国する時に謝礼としてたくさんの財物を受け取り、それらすべてを余英に託した。

 帰国の船旅の途中、余英は船室に水が滲みでていることに気づいた。自分の荷物が濡れることを心配し、李士衡の荷物と彼が受け取った財物を船底に置き、自分の荷物をその上に積み上げた。こうして自分の荷物だけは濡れにくくするという計らいだった。

 船が進むにつれ、海が荒れてきた。突風が吹き、船は高波で大揺れとなり、いまにも転覆しそうになった。船頭は余英によけいな荷物を海に捨てるよう指示を出し、余英は混乱しながら、大急ぎで部下たちと船室に向かい、荷物の半分を海に投げ捨てた。

 しばらくすると船は安定し、危険は去った。嵐が静まったため、余英は荷物の様子を見に船室に戻った。すると、彼ははたと気づいた。部下と一緒に投げ捨てた荷物は、ほとんど彼のものだったのである。一方、船底に置かれていた李士衡の荷物は全く失われることなく、ほんの少し水に濡れているだけだった。

 金銀・財宝に執着せず、すべてを護衛に任せた李士衡と、自分の荷物ばかりを気にした余英。結局、多くを失ったのは余英だった。

 (※)主に詔書の起草に当たった役所。アカデミー。

(翻訳編集・郭丹丹)

 (12/04/03 07:00)  





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中国伝統文化  李士衡  徳を欠いた男  


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