国連会合、中国が先住民問題でカナダを批判 トルドー首相「中国と根本的に違う」

2021/06/23
更新: 2021/06/23

カナダのレスリー・ノートン国連大使は22日、国連人権理事会で、日米英など44カ国の大使が署名した共同声明を読み上げた。共同声明は、中国の新疆ウイグル自治区における人権侵害や香港の基本的自由の悪化を批判した。中国大使はカナダの先住民問題を取り上げて応酬した。

共同声明は、「信頼できる報告では、新疆で100万人以上が恣意的に拘束され、ウイグル族などに偏った監視が広がり、基本的な自由と文化制限が行われている」と指摘。また、中国当局による香港国家安全維持法(国安法)の実施を批判し、「我々は、『国安法』の下での香港の基本的自由の悪化と、チベットの人権状況に引き続き深く懸念している」とした。

いっぽう、同日、中国の国連大使・江端(Jiang Duan)氏も国連人権理事会の会議で共同声明を読み上げ、カナダの先住民寄宿学校跡地から子供215人の遺体が発見されたことをめぐって、国連に調査を行うよう求めた。

カナダ紙ナショナル・ポストによると、中国は共同声明で、「私たちはカナダの先住民に対して行われている重大な人権侵害を深く憂慮する。歴史的に見ても、カナダは先住民の土地を略奪し、彼らを殺し、その文化を根絶してきた」とカナダ政府を批判した。

ロシア、イラン、北朝鮮、ベラルーシ、シリア、ベネズエラなどがこの声明に署名したという。

カナダでは、先住民の子供らに対する同化政策として、1876年に寄宿学校を設立した。1996年、同国内の最後の寄宿学校が閉鎖された。

ノートン大使は中国側の批判に対して、「トルドー首相が最近発言した通り、我々も先住民らが依然として人種差別や不公平な扱いを受けていると認識している」と述べ、カナダ政府は現在、この問題に真摯に対応し、問題解決に向けて取り組んでいるとした。

トルドー首相は同日の記者会見で、中国などの共同声明に対して、カナダ政府と先住民間の問題は、中国当局のウイグル人住民への人権侵害とは根本的な違いがあると反論した。首相によると、同政府は、真相究明および先住民との和解を図る委員会を立ち上げた。

「(先住民との)和解には時間がかかるが、我々はすでに始めた。しかし、中国側は、問題が存在することすら気づいていない」

「中国の真相究明・和解委員会はどこにあるのか?中国側には、カナダのような透明性と、過去の恐ろしい誤った行為に対する責任感がないだろう」と首相は強く反発した。

(翻訳編集・張哲)

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