チベットの光 (71) 尊者の名望

【大紀元日本10月25日】叔母を済度した後、ミラレパは師父のマルバと空行母が、あちこちの名山の洞窟で修行するように告げる夢を何度も見た。彼はその後、20か所余りの洞窟で修行し、最後には「これ以上修めることのできる法はなく、これ以上修めることのできる人はいない」という境界にまで達した。

 彼は、各所の洞窟で座禅し、功力はますます大きくなった。各地の山神がやってきて彼に挑戦したが、ミラレパはそれらを降伏させ、また済度した。彼らはそのため、ミラレパについて一心に正法を学び、再び山中で悪いことをして、独断専横することもなくなった。ミラレパは、修した強大な功力で彼らを天上にまで引っ張り上げて神となしたので、彼らはもう山中で困ることはなく、小さな山王・山神でいる必要もなくなった。後に、ミラレパは紅崖の魔王と女神をも降伏させ、彼らを済度して天に上げ、真に自由自在の天神とした。最後に、長寿王女神もまた神通を振るって彼に挑戦してきたが、彼はこれも降伏させた。この女神は、彼の教派を継承し、あの世で彼の教派を代表する光輝くものとなった。

 ミラレパは、あちこちの洞窟を転々として修行しているうちに、各地で多くの弟子たちを抱え、また縁ある多くの人たちと会った。ミラレパは彼らのために法を説き、その疾病と災難を除去し、生活上の心配事を取り除いて、その心霊の拠り所となった。その間、彼は天神の啓発を得て、ミラレパはカカマ国王も済度し、その後国王は一心にミラレパを供養した。国王はミラレパの説く法を聴くと、一心に善に向かうことを決め、よき国王となり、その国民もまた大いに受益した。このためミラレパの声望は遠方にまで及んだ。この数十年間、ミラレパは一部の大法師たちをも済度した。彼らはミラレパの偉大さと慈悲に感銘を受け、彼らを信奉する人たちもまたミラレパに追随し、修行を発願したので、多くの人たちが解脱し、死後は浄土世界に回帰した。またチベットで有名だった大法師もまた、彼を一目見て礼拝したので、人々もまた彼を崇敬し、皆が正法を修めることを発願した。

 ミラレパは、多くの弟子たちと大衆のために法を説き、それらの人たちの心を善に向かわせた。ミラレパは、また大法輪を回し、人々の疾病と災厄を除去したので、多くの人たちが修行を発願し、解脱を獲得し、悪道の苦しみに再び入ることがなくなった。このとき、ミラレパの仏性は太陽のように光り輝き、チベット全土を照らした。この期間、人々は真心から善に向かい、仏法を崇拝し、疾病災厄はこのために少なくなり、あらゆる人が幸せな日々を送ることができた。

 (続く)
 

(翻訳編集・武蔵)