苦言に耳を傾ける

【大紀元日本7月17日】誠実、忍耐、努力、寛容。絶えず心と身体を鍛えることで、何事にも習熟することができる。しかし、どんなに熟練した人であっても、難しいのが「他人からの指摘に耳を傾けること」。道を究めたと思っていても、その先にはまだ道がある。更に向上するためには他人からの指摘を受け入れ、慢心を防ぐこと。絶えずこれができれば前進の道に遮るものはなく、大きな間違いを防ぐことができる。

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ある日、唐太宗は臣下の褚遂良(ちょすいりょう)に質問した。「舜帝が漆器を製造しようとした時、十何人もの臣下がそれを止めるよう帝に進言した。なぜそのくらいのことで皆が諌める必要があるのか?」

褚遂良は恭しく答えた。「贅沢なものを求める欲望にはきりがありません。この欲が、まさに国が滅亡する根源なのです。まもなく人は漆器では満足しなくなり、それが金になり、翡翠になるのです。忠実な臣下は帝を心から尊重しているので、過ちの芽が大きくなる前に摘み取ろうとします。もし大きな災難となって目の前に迫ってきたら、帝はどんな進言にも耳を貸さなくなります」

唐太宗は言った。「まさに、その通りだ。私が何か間違ったことを始めたら、直ちに私を諌めてくれ。前代の帝王たちを観察してみると、彼らは臣下からの諫言を拒絶していた。彼らは常に、『これには前例がある』『すでに決定した』と言い訳し、自分たちの過ちを認めなかった。このようであれば、どうやって滅亡を免れるだろうか?」

他人からの指摘を受け入れ、過ちは小さいうちに直す。このような人物だけが、他人のいい所を吸収し、大きく前進できるのだ。

 (翻訳編集・郭丹丹)