THE EPOCH TIMES

中国地方政府、地方版景気刺激策を相次いで発表、貴州省だけで3兆元規模に

2012年08月07日 11時00分
【大紀元日本8月7日】中国経済成長の失速に伴い、中央政府から「経済成長を安定させよう」との指示のもとで、地方政府はこのほど、相次いで景気刺激計画を発表した。現在発表された景気刺激計画の総規模は、2008年世界金融危機発生後に中央政府が打ち出した「4兆元(約49兆2000億円)景気刺激策」を上回っていることから、一部のエコノミストは大規模な資金流入でインフレ圧力が再び強まるだけではなく、地方政府の負債が急増する恐れがあるため、すでに失速している中国経済にさらなる大きな打撃を与える、と懸念している。

 *地方政府 景気刺激策を相次いで打ち出す、貴州省だけで3兆元規模に

 中国国内報道によると、中国浙江省の寧波市、江蘇省南京市、湖南省長沙市と貴州省は7月に相次いで景気刺激計画を発表した。7月16日、浙江市寧波市は全国地方政府の中で先駆けして刺激計画を発表し、投資拡大の促進、減税、技術革新などの面で約26項目の景気刺激対策を打ち出した。

 この一週間後の23日、江蘇省南京市政府は『さらなる内需・消費拡大に関する市政府の意見』を発布し、投資または住宅ローンや自動車購入などを対象とする奨励金の導入を含む消費拡大の刺激対策を発表した。

 さらに、湖南省長沙市政府は26日、総投資額8292億元(約10兆1992億円)で、空港拡張建設、道路建設、ゴミ処理場建設や市内環境美化建設などの195項目のプロジェクトを発表した。一方、貴州省政府は観光業を発展させて同省の経済景気を刺激する目的で、8月に総投資額3兆元(約36兆9000億円)の『貴州省生態文化観光発展計画』を発表する予定。

 長沙市と貴州省の景気刺激対策の投資額だけを合わせるとすでに、ほぼ4兆元規模に達しているため、投資額を明らかにしていない南京市や寧波市を加えると、この4つの地方政府の投資規模がさらに膨らむと予想できる。

 一方で中国政府当局は内需拡大を狙い、6月に冷蔵庫や洗濯機などを対象に265億元(約3259億5000万円)規模の省エネ家電製品購入補助金制度を実施した。また、政府当局は農村部での自動車購入に補助金を支給する制度で、新たな「汽車下郷」(自動車を農村へ)政策を検討している。さらに、西安市などの都市で地下鉄路線拡張建設や、中国鉄道部が今年全国で4000億元(約4兆9200億円)規模の鉄道インフラ建設が予定されている。今回の景気刺激策は前回と違って、中央政府と地方政府が同時に行っている印象を受けた。

 *専門家:地方政府の景気刺激策で中国経済が再び危機に見舞われる

 2008年世界金融危機発生後に中国政府が国内景気刺激策で4兆元規模の投資計画を実施した結果、過剰流動性で不動産バブルの加速や物価急上昇や地方政府債務の急増などを招いた。物価高で国民の不満が高まったため、社会不安の拡大を恐れた中国政府は2010年下半期から、一転して「不動産価格抑制政策」など不動産バブルの沈静化やインフレ抑制の対応に迫られた。

 多くのエコノミストは国内経済成長鈍化を背景に7月に地方政府が相次いで景気刺激対策を打ち出していることに対して、前回「4兆元刺激策」の再現であり、中国経済がさらなる大きな危機に見舞われると懸念する。

 在米の中国情勢評論家の石蔵山氏は大紀元の取材に対して、「中国経済の深刻な鈍化に中国政府は強い危機感を抱いている。しかし、経済構造の調整が不可能な状況の下で、投資が景気を刺激するための唯一の選択肢となった」との見解を示した。「これらの投資計画は地方政府が打ち出したものだが、中央政府からの承認がなければ公表することができないので、実質的に中央政府が指示したのだろう。しかし、前回の4兆元景気刺激策よりも規模が大きくなるため、国内のインフレ圧力が再び急速に強まる可能性がある」と指摘した。

 *景気刺激策で地方政府の負債が急増する一方か

 経済成長失速、また不動産価格抑制政策に伴い、地方政府の土地収入と土地関連税収入が大幅に減少した今、専門家は景気刺激策を打ち出した地方政府の資金繰りに関して懸念を示している。

 投資総額8292億元の景気刺激計画を打ち出した長沙市政府の2011年の財政総収入が668億1100万元(約8217億7530万円)に止まっており、また3兆元規模の刺激計画を発表する予定の貴州省政府の同年財政総収入は1330億元(約1兆6359億円)だった。地方政府が財政不足にもかかわらず、どこから投資資金を調達するのかが注目されている。

 石蔵山氏は「地方政府が投資資金を調達するルートは主に2つある。一つ目はこれまでと同様、地方政府融資プラットフォームを通じて銀行から融資を受けること。2つ目は地方政府融資プラットフォームが債券市場において、大規模な城投債(都市投資債券)を発行すること。また、地方政府が融資しやすいように中国人民銀行は今年3回目となる利下げを近く実施するだろう」との見方を示した。

 さらに石氏は「2008年の4兆元景気刺激策で地方政府の負債が急増した。新たな刺激計画は地方政府の財政破たんと銀行の経営破たんを招くしかない。しかし、中国共産党政権は簡単に地方政府、銀行を破たんさせないだろう。同政権は結局中央銀行に紙幣を大量に増刷させて貨幣価値を下げさせることで、それらの問題を解決していくだろう。言い換えれば、結果的に将来国民全員でそれらの負債を返済することになる」と述べた。

(記者・高紫檀、翻訳編集・張哲)


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