古人の考え

【二十四孝】自分の身を売って父を葬る 

中国の漢の時代、千乗(現在の山東省博興県)に董永(とう えい)という人がいました。彼は幼くして母親を亡くし、父親と二人で田を耕し貧乏暮しをしていました。董永は非常に親思いで、子どもながら常に父親の負担を軽減させようと、自らたくさんの農作業を引き受けました。

父親が亡くなると、自分の身を売って葬式の費用をねん出しました。喪が明けると、金を貸してくれた雇い主の家へ向かいました。槐樹(エンジュ)の木の横を通りかかると、女性が立っていました。

彼女は、自分は身寄りがないので、董永の妻になって一緒に借金返済すると言いました。董永は彼女を放っておくことができず、雇い主のところに連れて行くことにしました。

雇い主は、突然二人もやってきたので、余分な食費がかかるとぶつくさ言いながら、女性に何者かと聞きました。彼女は、「私は董永の妻です。夫を手伝って借金を返済するためにきました。私は織物ができます」と答えました。雇い主は、「では、300匹(約2800メートル)のを作ってくれたら、帰っていいよ」と難題を出しました。「大量だから、終わらないだろう。一生ここでわしのために布を織ればいい」と雇い主はニンマリと笑いました。

しかし、彼女は十日で300匹の布を全部織り上げてしまいました。彼女は董永の借金を返済し、二人は帰途に向かいました。すると、女性は董永に告げました。「実は私は天女です。天帝はあなたの深い孝心に感心し、あなたの借金の返済を助けるようにと命じられ、下界に降りてきたのです」。彼女は言い終わると、さっと天に昇って行きました。

(翻訳編集・豊山)