<在日中国人の目>忘れられた日本の旧正月

【大紀元日本2月17日】2月14日。日本人にとっては、その日はバレンタインのチョコレートと冬期オリンピックを意味する。しかし、遠くにいる米国オバマ大統領は、ホワイトハウスのネットを通して、世界の中華人に新年の挨拶を送っている。13億人の中国大陸及び香港や台湾のみならず、韓国、タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシア、インドネシアなど儒教文化圏のアジア地区では、その日は一年で最も重要なおめでたい日である。

「正月」という呼び名の由来はともかく、日本人はすでに昔の「正しい」新年の日を忘れている。日本も儒教文化の影響を強く受けていながら、旧正月はもうその影をほとんど留めない。獅子舞でその日を祝うのは、横浜や神戸の中華街のみだ。しかしそれは大事な祭日の祝いというよりは、ビジネスチャンスの意味合いが強く感じられる。

その日、東京在住の東北出身の張さんは、横浜中華街に足を運び、関帝廟(日本の神社のような存在)前で参拝者の列に並んでいた。彼は、毎年その日はいつも、中国人の友だちと集い、故郷の味の料理を作ってお酒を飲みながら夜を明かす。それから電話で中国の親族や友だちに新年の挨拶をするのも定番。来日十数年も経った張さんは、日本の旧正月は、新年の雰囲気が感じられず寂しいと話す。

「横浜中華街の新年は、爆竹や糖葫蘆がない。何か物足りない」。生まれたばかりの赤ちゃんと日本人の夫と一緒に参拝に来た王さんは、そう話す。新年のイメージが薄れている若い世代に旧暦新年を馴染ませるため、横浜中華街商会は今年から、旧暦新年に関する物語を紹介する小説「初恋の縁」を電子マガジンで連載する予定。

旧暦新年は毎年1月末前後だが、月のめぐりを中心に作られた太陰暦を使用しているため、新暦の太陽暦の日付で計算すると毎年変わる。日本を除き、アジア儒教文化圏では昔からの太陰暦を使用しているため、近代になってから新暦を使用し始めても文化上の関係で旧暦のままの祭日は維持されている。

日本でも昔は旧暦を使っていたが、明治維新で新政府が欧米文明を採りいれようとして、明治5年にグレゴリオ暦に改暦し、旧暦の行事をすべて新暦の日にしてしまった。季節に由来する歌や行事が多く、旧暦のほうがあっていたが、現在の新暦では七草や桃の節句など、違う日に行い、季節に合わない傾向が感じられる。