ワクチン特許放棄、WTOの協議行き詰まり 提案から1年

2021/10/05
更新: 2021/10/05

[ジュネーブ 4日 ロイター] – 新型コロナウイルスのワクチンや治療薬の特許を一時的に放棄することを南アフリカとインドが世界貿易機関(WTO)で提案してから1年が経過した。だが、4日の関連会合後に関係筋が明らかにしたところによると、交渉は行き詰まり、方向性を見失っているという。

特許の一時放棄を巡っては、途上国もワクチン生産が可能になり、人命を救うことができるとして100カ国以上が支持する一方、製薬大手を擁するスイスなど少数の国が反対。米国が5月に支持を表明したことを受けて進展への期待が高まったが、これまでのところ実現していない。

こうした中、WTOの「知的財産権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」に関して協議するTRIPS理事会は4日、この問題について非公開会合を開いた。

出席した関係筋によると、ノルウェー代表は方向性の欠如にいら立ちを示し、今後の対応について各国に早急に意見を出すよう求めた。

中国は会合での議論について、堂々巡りで実質的な進展はなかったと指摘。インドの代表は、一部の国が有意義な話し合いを回避するためあらゆる手を尽くしたと非難したという。

関係筋によると、反対派は原材料不足や供給網の問題など、ワクチンの公平な分配の障害が特許放棄によって取り除かれるか依然として不透明だと主張した。

Reuters
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