官尊民卑か 汚職幹部は死刑を回避 元実業家は即執行

2013年07月16日 16時55分
「刑執行の前に家族と面会する権利があると規定されていない」とする湖南省中級人民法院の公式ミニブログ(スクリーンショット)

【大紀元日本7月16日】違法な資金集めを行ったとして死刑が確定した湖南省の実業家曽成傑は親族への通告なしに12日に死刑を執行された。一方、巨額な賄賂を受け取った元鉄道相の劉志軍は先日、執行猶予つきの死刑判決を言い渡され、事実上死刑を回避することができた。「官尊民卑」を浮き彫りにした二つの出来事で議論が沸騰している。

 曽成傑は同省湘西トゥチャ族ミャオ族自治州吉首市の不動産開発業者で、2004年に同自治州の図書館や体育館の建設を請け負い、最高10%の利子を約束し、のべ6万2000人から約34.5億元の資金を集めた。

 しかし、2008年3月、政府は民間金融を禁止への方向転換をし、出資した政府幹部が返還を求めたので、返済が焦げ付いた。2008年12月、8.2億元を詐取したとして曽成傑は詐欺罪で逮捕され、今年6月に最高人民法院で死刑が確定した。

 今回問題となったのは刑執行の手順だ。法院は親族に通告せず、12日に刑を執行し、その翌日に、法院の掲示板に告示を出した。家族の元に13日付で発送された死刑執行通知書が届いた。最後に家族とも面会させず死刑に処された事実が曽の親族によって公表されたのち、市民から非難の声が上がっている。

 高まる世論を受け、湖南省中級人民法院は公式ミニブログで「刑執行の前に家族と面会する権利があると規定されていない」と反論した。まもなく「担当者のミス」を理由にこの書き込みを削除、「刑執行の前に家族面会の権利があると伝えたが、曽成傑は要求しなかった」と説明した。

 曽はすでに死亡したため、本当に要求したかどうかが不明。「死人に口なし」とさらに批判に晒された同法院は「親族の連絡先がない」と再度釈明。この釈明に曽の弁護士は「曽の息子の電話番号を提出していた」と一蹴した。

 一方、劉志軍元鉄道相が8日、収賄などの罪で執行猶予2年の死刑判決を言い渡された。中国では執行猶予付きの死刑判決で死刑になった人はほとんどおらず、事実上死をまぬがれたことになる。劉元鉄道相が計477件の経済犯罪で起訴され、司法機関は劉が不法に取得した374の不動産物件と8億元を差し押さえたと伝えられている。

 ネット利用者らから「同じ8億元でも、なぜ生死が別れたのか」、「2つの事例から汚職幹部はいくら収賄しても死刑にならないが、庶民は経済犯罪でも死刑になる」と司法の公正を疑問視する声が上がっている。

 民間融資をめぐって、2012年にも浙江省出身の呉英(31)が死刑判決を言い渡されたが、減刑を求める声が殺到したため、執行猶予つきの死刑判決に変更された。

 中国では民営の中小企業はほとんど銀行融資を受けられないため、資金の約9割を民間金融に頼っていると言われている。曽成傑が行った資金調達は現地政府の後押しを得て、 同市90%の世帯が出資し、誰もが「合法」だと思っていたという。さらに、刑が確定する前に、23億相当の全財産を没収し、3億の安値で同市政府傘下の企業に売買するなど捜査の手法にも問題があるとされている。

(翻訳編集・高遠)


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