中国当局、ネット情報検閲をさらに強化 専門家「逆効果だ」

2013年08月23日 15時30分
【大紀元日本8月23日】ここ数カ月、中国当局はインターネット情報の検閲をさらに強化し、社会の暗部を暴露する人気サイトを相次ぎ閉鎖している。 米国の海外向け放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は、「インターネット世論への中国当局の不安は日々強まっている」と背景を指摘した。

 5月、400万人のネットユーザーのファンを持つ著名なネット作家・慕容雪村氏の中国版ツイッター(微博)は突然閉鎖された。コミュニティ型のウェブサイトSNSでの同氏のアカウントも全部削除されている。関連当局はいかなる説明も出していない。VOAは「同氏の書き込みは政府の不安を募らせている」と評した。

 ネットでの言論が当局の機嫌を損い、封殺の対象となったのは慕容雪村氏だけではない。今年はじめ、中央宣伝部による新聞検閲に抗議する人気紙「南方周末」の記者らを、中国本土で芸能活動を展開する有名な台湾人タレント伊能静は自身のツイッターで支持するコメントを出した。直後に中国国家安全部に呼び出された彼女は以来、中国メディアの封殺の対象となった。

 ネットで多くの支持者を持つ人気ブロガーの秦火火氏はこのほど、警察当局に逮捕され、そのツイッターも閉鎖されている。同氏は、中国当局のプロパガンダ宣伝で仕立てられた国民的模範、故・雷鋒たちの裏の素顔を暴露するほか、四川大地震の義捐金の巨額不正流用など各種の汚職問題をとりあげていた。

 同氏の逮捕について、国営新華社通信のウェブ版は、「ネットにおける組織的なデマ流布などの違法犯罪を集中的に取り締まっている」とし、「故意にデマを流し、他人の名誉を棄損し、暴利をむさぼっていた」とその容疑を並べた。

 これまでの発表によれば、中国のネット利用者は6億人を超えた。当局のネット情報の検閲強化について、VOAは「インターネットでは、社会の不公平を暴露し、当局の政策に疑問を呈する言論は活発化している。また、民主や人権を求める声も根強い。これは中国共産党政権の威厳と合法性を脅かしており、インターネットが発達するにつれて、中国当局の信用は低下し続けている」という現実問題を指摘した。

 共産党の機関誌「求是」も、「インターネットのページをクリックしたり、微博(中国版ツイッター)にログインすれば、負のニュースは瞬く間に押し寄せてきて、埋め尽くされる。災難、事故、汚職、スキャンダルなどの情報が氾濫している」と現状を認めざるを得なかった。

 無論、指導部はネット世論の重要性をはっきりと認識している。このことから、当局は幹部たちにネットで積極的に発言し、民意を誘導することを促している。

 今回のネット情報への検閲強化も、インターネットをコントロールしようとするその決心が覗ける。

 一方、中国問題の専門家はその逆効果を警告している。米マイアミ大学政治学部の元主任・金徳芳氏はVOAの取材に対して、次のように述べた。「インターネットは中国国民にとって、政権に対する不平不満のはけ口である。ネット情報の検閲強化は、この国民の反発感情を一気に爆発させ、社会的動乱を招きかねない」

 VOAは専門家の意見として、「ネットは国民生活の一部分になった今、中国当局が政府系メディアを通して世論を牛耳るのはもはや不可能だ」と綴った。

 新しい指導者の習近平・主席に対して、ネット上の言論の自由をある程度容認するという期待もあったため、当局の最近の動きに多くの有識者は落胆している。

 米デジタル雑誌「ウォッチャー」の編集長・陳奎徳氏はVOAの取材でこう語った。「習氏は言論自由を封じる手をまったく緩めていない。しかし問題は、これは彼自身の執政方針なのか、それとも党内の勢力に押し付けられているのか、意見は分かれている」。

 (翻訳編集・叶子)
関連キーワード
^