わたしは媽媽

ニッポン子育て発見記5 子どもを「自立させる」教育

《日本の皆さん、こんにちは。私は中国出身で、今は日本で生活しながら3人の子どもを育てている媽媽(マーマ)です。私は日本が大好きです。そんな私が発見した日本文化のすばらしさを、皆さんにお届けします》

中国の一人っ子の多くは小皇帝、小王女です。中国の親も、学校の教師も、テストで点をとるだけの勉強に子どもを駆り立てています。その結果、生活の基本である衣食住を自分で整えることができないばかりか、非常に自己中心的で、親への孝行も知らない、全く自立できない大人ができあがってしまうのです。

日本は、その逆です。学校でも家庭でも、日本人は「子どもを自立させるために教育している」といってもよいほど、その重点の置き方には驚かされます。

日本の学校教育は、知識の習得だけでなく、子どもの生活能力を養うことにも重点が置かれています。小学校から高校まで「家庭科」の授業があり、数多くの実習を通じて、健康的な生活に関する知識と技術を学びます。

家庭科は大学受験の科目ではありませんが、子どもが大学に入学し、親から離れて自立した生活を始めるときに、必ず家庭科で学んだ知識と技術が役に立ちます。子どもが自立できれば、アルバイトをしながら大学に行き、将来結婚して家を買うところまで、親に頼らず自分で生きて行けるのです。

日本の小学校では通常、五年生から「家庭科」の授業を受けます。その中で、例えば調理ならば、毎日の食事の役割を栄養学の知識も含めて理解することにより、楽しく、かつ正しい食習慣を身につけることと、調理に必要な技術を習得します。

「学校で習った料理を、家で作ってみよう」ということで、私の娘もやりましたが、スーパーへ行って必要な食材を選んで買い、それを無駄なく、栄養分を損なわないように調理します。苦戦しながらも、なかなかおいしくできた料理を、その日の家族の夕食に出してくれました。

衣服や住まいについての知識も、家庭科の授業で習います。それは人が健康的で、心豊かな生活を送るために役立つ知識と技術です。授業で習ったことを実際に家でやってみることも、学校からの課題として与えられます。

夏休みや冬休みの前には、自分で記入する「作業表」が生徒に渡されます。毎日の学習、家の手伝い、遊びの時間などの記録を子どもが自分で記入したら、保護者がコメントをつけて、休み明けに担任の先生へ提出します。

私は三人の子ども(息子2人と娘)に、ゴミ出し、部屋の片づけ、洗濯物を干す、乾いたら畳んでケースに入れる、夕食を作る、などの作業を細かく指示してから、安心して自分の職場へ出勤できるようになりました。

日本の「子どもを自立させる教育」は、確かに、子どもの成長に良い成果をもたらしていると思います。「自分で、できるようになりなさい」と言われ、生まれて初めて手で洗濯をする子どもにしてみれば、なかなか大変な課題を与えられたとも言えます。しかし、そうして親の苦労を知ることもでき、また子ども自身にとっても自信と達成感が得られる貴重な教育の機会だと思うのです。

(文・心怡 翻訳編集・鳥飼聡)

ニッポン子育て発見記 4 部活に打ち込む娘、成績もアップhttps://epochtimes.jp/p/2021/05/73159.html