法輪功の指導書、中国「臓器狩り」調査書がロシアで出版禁止に

2012/01/09
更新: 2012/01/09

【大紀元日本1月9日】中国の気功法・法輪功の指導書が最近、中国大陸同様、ロシア全土で出版禁止になった。12月22日、南ロシアの都市・クラスノダール地方裁判所が判決を下した。また、2人の著名カナダ人が中国大陸で起きている臓器奪取問題について著した書籍も、同様の決定が下され、国際人権団体や法輪功学習者は、中国当局からの圧力によるものだと主張している。

出版が禁止となった『戦慄の臓器狩り』(大紀元)

このたび出版禁止となったのは、気功法や心身修養について書かれた法輪功の主な指導書『転法輪』と、カナダ人権弁護士デイビッド・マタス氏とカナダ政府元高官デイビッド・キルガー氏が独立調査の上、中国国内の法輪功学習者や囚人の臓器が不当に奪取されている問題を著した『戦慄の臓器狩り』。

法輪功側の担当弁護士は、判決の不当性を訴えている。「双方の権利は法の平等の下になかった。これだけで判決を覆せる根拠となるはずだが、私たちの訴えは聞き入られなかった」

判決に対し『戦慄の臓器狩り』の著者2人は、ロシア地方裁判所に宛てた声明を発表した。「調査書が、政治システムや組織に関していかに批判的であったとしても『過激主義』であるようには到底思えない。いかなる国際法やロシアの法律も、政治や行政システム、国内外からの批判を免れようとして判決を下すべきではない」

『戦慄の臓器狩り』の著者であるマタス弁護士はカナダ国家憲章の受賞者であり、2010年にノーベル平和賞にノミネートされた、人権分野において国際的に著名な人物である。

出版禁止の最初の決定は2008年8月に下されたが、現地の法輪功学習者が上訴し、2009年に判決を覆した。しかし再審となり、クラスノダール地方裁判所が2年にわたり審議が行なわれた結果、これらの書籍を「過激主義」と定めた。

2008年に『戦慄の臓器狩り』が出版禁止になった理由は「中国の社会的・政治的システム、国の代表、医療従事者、軍などに対して否定的なイメージを与える」であった。

ロシア国内の専門家からも、『過激主義』との判決に疑問の声が上がっている。ロシア政府の史記管理局科学部門長D.ラスキン氏は、新唐人テレビの取材に対して答えている。「転法輪の教義は、道徳と精神性を高めるよう導くものだ。また仕事や市民の義務、誠実な行いをするよう人々に促している。配偶者に心を配ることや、子供の教育についても(指導内容に)含まれている。また喫煙やアルコール依存などの中毒症状を克服させ、親切で忍耐強い人になるよう修めさせるものだ」

中国共産党が法輪功の修練の禁止と弾圧政策を開始してから、既に12年経つ。江沢民前国家主席が強制処分した指導書『転法輪』は何千万部にも及ぶ。しかし同書は現在、30の言語に翻訳され、世界114カ国で出版されており、世界に1億人以上いるといわれている法輪功学習者へ、心身の修煉方法を指導している。1990年代、中国大陸で大ブームとなった当時も、同書はベストセラーを記録した。

(記者・スティーブン・グレゴリー/ヘレナ・ジュウ 翻訳編集・佐渡 道世)
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