【一本のかんざし】

2014年08月26日 07時00分
【大紀元日本8月26日】一本のかんざしで修煉の機縁を失ってしまった修煉者の物語である。

 山奥に庵を結び、一心に修行に励む修煉者がいた。彼は世の中の名誉、利益、色欲などすべての煩悩と欲望を捨て、ひとりで静かに暮らしていた。

 ある日、美しい婦人が宿を借りたいと戸をたたいた。修煉者は草ぶきの家を婦人に譲り、自分は外の庭で一晩明かすことにした。彼はすでに色欲を捨てていたので下心はまったくなく、一晩無事に過ごした。翌朝、婦人は彼に礼を言ってその場を去った。

 婦人が去った後、彼は婦人の寝床に一本のかんざしが置かれていることに気付いた。ふと彼は思った。「自分には金銭欲がないので不要だが、家族の誰かにあげたら喜んでもらえるだろう」。彼は、そのかんざしをそっと箪笥の中にしまった。

 しかし、その瞬間、修煉者は自分が貪欲の戒めを犯したことに気づいた。彼は急いで婦人を追いかけたが、彼女の姿はすでに遥か遠くにあり、次の瞬間、婦人は観音菩薩に変わっていた。

 この時、彼は、かんざしは菩薩が彼に与えた試練だったことを悟った。後悔しても遅く、彼は一度きりの成就の機会を失ってしまった。

 一時の貪欲な心により、長年の修行を無駄にしてしまった修煉者の物語は、世の中の誘惑に屈せず、高潔な心を捨ててはいけないことを教えている。

 (翻訳編集・蘭因)
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