小学校の教科書めぐる論争、「上海閥」が習政権と対立表面化

2014年09月24日 13時20分
【大紀元日本9月24日】江沢民元国家主席を中心とした上海閥は1989年以来、中国政界を牛耳ってきたが、習政権発足以来、上海閥の勢力は次第に弱まってきた。しかし、最近、江沢民元主席の牙城・上海市のトップ、韓正書記(60)が小学校の教科書事件を介し、公然と習政権との対立を煽ろうとしているとみられる。

 「脱中国化」上海vs北京、小学校の教科書めぐる論争

 上海地元メディアは8月26日、上海当局は「学生の負担を軽減するための措置」として、上海の小学1年生の国語教科書の新バージョンから、「鸛鵲楼に登る」や「江雪」など人々が慣れ親しんでいる8編の古典詩や「小川が病気になった」「話せるランタン」など5編の童話を削除したと報じた。

 たくさんの親たちは「古典詩や童話は非常に良い文学形式である。これを含むとしても学生の負担にならない」と不満の声をあげている。多くの市民も古典文学が貴重な文化として継承すべきだと削除に反対を表明した。

 政府系ウェブメディア「人民網」は今月2日、「上海の小学校の教科書から古典詩削除、負担軽減か伝統文化の消失か」との題名で非難のニュアンスを漂わせた論評記事を掲載した。

 さらに習近平主席は「教師の日」の前日にあたる9月9日、北京師範大学で教師や学生らと接見した際、小学校の教科書から古典詩を削除した問題について、次のように述べた。 「脱中国化は非常に悲しいことである。幼い頃から古典詩を身につけると一生涯続く民族文化の遺伝子となるだろう」

 北京当局はその翌日、速やかに習主席の言葉に呼応し、北京市の小学1年生「国語」に収録された古典詩を来年から、今の6〜8編から22編に増加すると発表した。一方、政府系メディア人民日報は、「習主席の『脱中国化』との批判の矢が誰に飛んだか」と題する社説で非難の矢を上海に投げた。党の機関紙がこのような内容を発表したのは、間違いなく上海政府の態度表明を督促したとみられる。

 しかし、上海当局はこのような期待を裏切ったようだ。上海政府機関紙「解放日報」の公式ウェイボーは同日夜、「一晩で10編の古典詩を増やしても伝統文化に何の役にたつのか?本当に伝統が分かれば、『助長抜苗』の意味はなんだろう。『過猶不及(過ぎたるはなお及ばざるが如し)』の意味はなんだろう。…孔子曰く『行いて余力あれば、則ち以って文を学べ』。忘れてはいけない、これこそが伝統である」とコメントを発表。この発言は、上海政府の立場を代表するとされるため、上海トップの韓正書記が公然と習政権の権威に挑戦していると見なされ、大いに物議を醸した。

 議論がネットでも沸騰。ネットユーザーの注目を集め、たくさんのコメントが寄せられた。「これは何のリズムかな?挑戦?」「上海閥が反撃開始?」「上海は習ボスにかなり不満だ」「上海、お前は死にたい気持ちか?古典詩8編が『助長抜苗』と言おうか?俺の5歳の子、もう唐詩5首を覚えた」「上海の語学幼稚園は子供に日本語の歌を学ばせている。これが上海の『伝統』?」

 世論からの圧力を耐え切れなくなったせいか、その翌日には、上海「解放日報」の公式ウェイボーからこの書き込みが削除された。

 頽勢を挽回できぬ 上海閥の没落

 実際に上海の情勢は以前から不穏な動きがみられている。中央規律検査委員会は7月末、中国共産党の中央巡視組を上海に派遣した後、江沢民元主席と関係の深い上海市国有大手企業・光明集団の王宗南元会長が8月11日に逮捕された。

 中国当局は7月29日、周永康・前常務委員を立件すると公表した。さらに、7月12日付弊紙(中国語版)が独自の情報筋として、曾慶紅・元国家副主席が身柄を拘束されたと伝えた。また、江沢民派の大物政治家が相次いで失脚した状況下で、同元主席本人に関して、入院や逮捕、死亡などさまざまなうわさがネットに流れている。同元主席が9月初めに逮捕を恐れて非常に重い病気にかかっているという口実で上海市内の病院に入院したという。

 上海トップの韓正書記は現在の「上海閥」の主立つ者とされ、習政権の警戒を呼んでいる。今回の小学校教科書の問題をめぐる北京当局の動きからみれば、上海が既に中国の政局に嵐を呼ぶ「台風の目」となっていることが明らかになった。

 上海出身の韓氏は上海市長に就任後、陳良宇(服役中)、習近平氏(国家主席)と俞正聲氏(政治局常務委員に昇格)ら3人の書記交代を経験し、2012年11月に市党委員会書記を兼任した。韓氏は常に習政権と江沢民派との間でバランスを配慮し、倒れない上海「だるま」と呼ばれているが、最近になって江沢民派に寄る行動が鮮明になったため、外界の注目を集めている。

(翻訳編集・王君宜)


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